薬師岳・ハイジ尾根(18時間半)
- GPS
- 17:36
- 距離
- 56.0km
- 登り
- 4,037m
- 下り
- 4,242m
コースタイム
- 山行
- 18:15
- 休憩
- 0:13
- 合計
- 18:28
1.30 736m 新鬼ヶ城トンネル出口・チャリデポ
3.24 1100m 有峰ダム
5.25 1350m 折立
7.59 1869m 三角点
9.46 2196m 下降点2196m
10.20 2117m 岩井谷
13.15 2850m 薬師岳避難小屋
14.06 2761m 薬師岳山頂
14.25 2926m 薬師岳山頂発
14.58 2120m 岩井谷
15.53 2196m 2196m
16.14 1869m 三角点
16.54 1350m 折立
17.52 1100m 有峰ダム
18.47 736m 新鬼ヶ城トンネル・チャリデポ
19.07 390m 有峰林道(亀谷)ゲート
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年03月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
*有峰林道除雪はまだ新鬼ヶ城トンネル6.9kmまでチャリ可能、ここから折立まで歩き *湖畔から林道カットで沢に入る、降雪直後なので可能だったがこれからは無理だろう *折立から夏道は1700mまで藪多し *三角点から上は雪豊富、どこでも歩ける *岩井谷へは2196mポコから下降100m弱の下降、岩井谷は割れている箇所もあるが問題ない *ハイジ尾根は展望良くとても快適 |
その他周辺情報 | 白樺ハイツで入浴可 |
写真
感想
目指すは薬師岳、そろそろ除雪も有峰湖辺りまで進んでいるだろうとの読みで深夜1時にコーエーと亀谷ゲート発と約束していた。高速割引を使い深夜0時に下車して0時半にコーエーと同時にゲートに着いて支度をする。
久しぶりに重荷を背負ってのチャリミネンコである。前日、前々日に降雪があった。どこまでチャリが使えるだろうか一抹の不安、さあ行くぞコーエー、ガシガシチャリを漕いで行く。二人先頭を交代して風よけとする。コーエーに先頭を交代するも遅いので先頭交代、今日も少しペースを上げると千切れてしまう。コーエーはもっとチャリトレが必要だ。
快適にチャリを漕ぐが1時間も漕がない内に新鬼ヶ城トンネル出口で雪がたんまり出てここでチャリをデポとした。距離は6.9km、折立まで20kmだったから3分の2歩かなくてはならない。ムムム、、、林道を歩くと新雪でプチラッセルとなる。二人ともファットで来ているので足は重いがごボリはマシだった。
雪はずっと続いていて所々落石やデブリも多い、全く除雪は入っていない。雪のある林道はマシだが有峰湖までトンネル歩きが三ヶ所、その都度板を担いだ長いトンネルはメチャ難儀であった。2時間40分でようやく有峰湖へ、チャリだけなら1時間ちょいだが随分時間はかかった。湖畔を回ってそのまま林道を行くと長いので新折立トンネルに直で上がる沢沿いのカットを使った。しかし雪不足で川の渡渉も出たりして難儀して新折立トンネルに出た。
新折立トンネルを抜けると明るくなり折立到着となった。4時間45分長かった。厳冬期の白峰ー別当出合ラッセルとほぼ同じ時間であった。折立の積雪は例年の半分だろうか、キャンプ場を抜けて沢沿いコースを選択するも雪不足で使えず、仕方なくヤブを漕いで登山道に合流した。しかしやはり雪不足で藪は多かった。新雪のため雪は繋がっていた。
コーエーと二人で交代でラッセルしてトレースを伸ばす。30cm以上の新雪はありそうだ。気温は低くて雪はサラサラしていた。1700m辺りからはかなり雪は増えた。三角点から先巻き巻きでアップダウンを作らないようにルート工作する。ラッセルは辛いが帰りは楽になる。2000mを過ぎると格段に雪は増えもう大雪原でどこでも歩ける。振り返れば白山や鍬崎山がきれいだった。
今日は一日快晴だ、うれしいが山頂は遠い、14時がタイムリミットだがまあ時間無制限である。2196mポコまで大雪原を歩いてここでシールを剥いで岩井谷へ下降する。標高差100m下るだけでハイジ尾根を経由すれば薬師峠経由よりかなりショートカットになる。帰りのことも考えて使えるトレースで岩井谷へ下降した。2100m沢床から山頂まで標高差750m頑張るしかない。
ここからもラッセルはきつかった。おまけに気温が上がり雪が溶けて板にメチャ張り付いて重いこと重いこと、ラッセルと二重苦だった。頑張って交代でトレースを伸ばす。ハイジ尾根に這い上がると風もあるのでラッセルはましになった。正面には薬師岳がドン、最高の景色である。ハイジ尾根は広くて展望もよく登り返しもなく登りも下りも最高である。
薬師岳避難小屋着13時15分、ここで地獄セットに変えて山頂ロックオン、斜面は氷化していて慎重にピークへさあ山頂が見えた。ゴーーール!13時間半ようやくピクッた。それにしても長い長い道のりだった。最後まで心は折れなかった。山頂からは日本海、北ア全部が見渡せた。頑張って良かった。写真を撮ったら急いで帰還だ。まあ暗くなるだろうが。
山頂から板で快適にクルージング、何度も前後して写真を撮影した。振り返れば薬師岳がでかい、また来シーズン来るよ。ハイジ尾根も快適で岩井谷までわずか30分であった。ここでシールを付けて標高差70m登り返すと後は折立まで快適な滑りであった。登りのルート工作でアップダウンは一切なかった。折立着夕刻5時、さあ先は長い。
帰りもショートカットで沢沿いを滑り有峰湖へ、ここからは林道はボブスレーだが三ヶ所トンネル歩きを経てようやくチャリデポへ、安堵した。後はチャリにまたがりあっという間に真っ暗な亀谷ゲートで〆て18時間半の完全燃焼薬師岳であった。とにかく疲れた!
薬師岳はこれまで、通常の折立からのピストン、海から自転車往復、6月の山スキーと登ってきた。ゲートが開通するのが6月なので下から上まで山スキーを楽しむとしたらゲートから自転車で重荷を担いでいくしかない。以前から行ってみたいと思っていて、今回念願が叶った。
ゲートを1時発なので自宅を10時30分には出発する。睡眠時間は1時間弱…今日は無制限一本勝負なのでしょうがない。同じタイミングでYSHR先生も到着し、支度を済ませ出発する。
海から薬師岳の時に自転車でこの林道を一度だけ走ったことがあるが、急勾配が多い印象だ。白山公園線の白峰ゲートから市ノ瀬までは平均勾配3%に対して有峰林道は平均勾配5%である距離も倍近くあるので、山スキー道具を担いで走るのは苦行だけど山スキーを楽しむためにはしょうがないことだ。今回どこまで自転車が使えるか。
5kmずつ先頭を引っ張ろうということでまず先生が先頭で出発。出だしのトンネルから急勾配、先日のトレーニングで疲れが残っていて足が重かった…まだ林道の整備はされておらず落石が至る所にあった。5km終了した時点で先頭交代、いきなりトンネルの急こう配で頑張って漕いでいたのにしびれを切らした先生にぶち抜かれてしまった…。トンネルの出口から雪道になる、ここで自転車をデポするがちょっと想定外。
降雪直後なので雪は軽いがラッセルとなる。残りの林道は12km、なかなかハードな工程である。トンネルが3つあるのでそのたびに担いだり、手に持ったりと難儀する。有峰ビジターセンターを過ぎて折立遊歩道と林道の間の沢筋を進み、ショートカットする。ここは降り始めの時期は埋まっていないし、遅い時期だと自転車で折立まで行けてしまうのでこの時期限定ルートということだった。
出発から5時間でやっと登山開始である。夏道の隣の沢筋から進むが、谷割れが続き、登りは厳しいので登山道のある尾根に合流、平坦なところや、アップダウンが多いのでその都度ルート工作しながら高度を上げていく。降雪直後なので延々とラッセルである。岩井谷に下降するポイントは五光岩ベンチ付近で、この辺りは視界が開けている。だだっ広い雪原を快晴の下、最高のパノラマを満喫しながら貸し切り、なんという贅沢だろう。
岩井谷には帰りも使えるように緩く下っていく。沢床には割れているところもあったが、うまくハイジ尾根の末端にたどり着いた。ここからがさらに試練で日が当たたった雪がメチャ重く、しかも冷えている板にまとわりついてくる。取付は急斜面なのでスネラッセルくらいだが、板の重みが加わり勘弁してほしかった。何度も雪を払ったがすぐにまとわりついてきた。風の当たる尾根に這い上がるとラッセルは幾分マシになり、ここでスクレーパーできれいに削ったら、その後は快適だった。
2500mまで高度を上げると薬師岳山頂、避難小屋、薬師岳山荘が見渡せる。さあ最後の登りだ。しかし見えているけどなかなかたどり着かなかった。薬師岳山荘の脇で地獄装備に換装し、最後のアタック。ダウンを着たら暑くなり、体が温まると眠くなってきた。もうすでに行動時間は10時間を超えているので無理もない。避難小屋でダウンを脱ぐと、適度に涼しくなったので眠気もスッキリ、最後の稜線だ。夏道はガチガチなのでカール側の雪の溜まったところから登る。山頂の祠が見えた時には安堵した。無制限一本勝負とは言え、リミットもあったので。
山頂から360度のパノラマを楽しんだらすぐに滑走準備。避難小屋から山荘までは吹き溜まりを選び快適に、ハイジ尾根はまるでスキー場のような広さと斜度で、絶景を楽しみながら滑走した。尾根末端では雪が腐り難儀したが、快適に岩井谷まで滑降し、登り返す。トレースがあるのでスイスイ進めるので効率的だった。五光岩ベンチからシールを貼ぎ、しばらく滑りを楽しみ、樹林帯はルート工作のおかげであっという間に1600mまで落とした。ここから沢筋に入るまでの藪漕ぎが難儀を極めたが、沢に出てしまえばスイスイ。雪が多いときにはもっと快適なんだろう。
無事林道に出てあとはボブスレー、もう薬師岳のアーベンロートが始まっていた。気温が下がりカリカリになっているので林道も快適に滑り、トンネル歩きはつらいが、滑りは快調、この時にはヘッデン滑降だったが、林道なので問題ない。自転車をデポしたトンネルに着くころには真っ暗だったが、後はダウンヒルのみ。心配していた道路の凍結もなく、落石に注意しながら飛ばすとゲートに着いた。
18時間行動は、冬では最長記録だ。登りではピークまで頑張ろうという気持ち、下山では無事に帰るという気持ちを持ち続けていたので、ゲートに着いたときには一気に解放された気分だった。ハイジ尾根は登りも滑りも最高で、帰りには対岸から薬師岳と自分たちのシュプールを見て自己満足に浸れる。体はクタクタになるが、また行きたいと思う山行だった。同行させていただきありがとうございます!
ロングルートお疲れ様です!
写真見てて気づいたのですが、シールの幅をかなり狭くしてませんか?
湿った雪への対策でしょうか?
まあ長年の経験から色々な技がありましてご想像におまかせします。
山スキーはルート取りを含めすべてが試行錯誤です。
常識に囚われないこれが大切です。
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