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Yamareco

記録ID: 2397367
全員に公開
ハイキング
白山

笈ヶ岳(大笠から千丈平経由で)激闘17時間

2020年06月17日(水) [日帰り]
 - 拍手
体力度
5
1泊以上が適当
GPS
17:09
距離
19.7km
登り
2,624m
下り
2,636m
歩くペース
標準
1.01.1
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
15:47
休憩
1:18
合計
17:05
1:19
114
3:13
3:13
19
3:32
3:33
31
4:04
4:04
35
4:39
4:40
4
4:44
4:58
107
6:45
6:50
117
千丈平
8:47
8:55
49
9:44
10:06
41
10:47
10:52
60
11:52
11:55
227
千丈平
15:42
15:59
2
16:01
16:02
24
16:26
16:27
35
17:02
17:02
16
17:18
17:18
66
18:24
大畠谷橋
1.19 580m 登山口発
3.32 1552m アカモの頭
4.04 1570m 旧避難小屋 水場
4.44 1821m 大笠山
5.30 1680m 稜線から下降
6.45 1470m 千丈平
7.34 1370m シンノ又切替点
8.51 1730m 錫杖岳
9.53 1841m 笈ヶ岳山頂
10.00 1841m 笈ヶ岳山頂発
10.50 1730m 錫杖岳
11.52 1370m シンノ又切替点
13.05 1470m 千丈平
14.30 1680m 稜線
15.50 1821m 大笠山
16.30 1570m 旧避難小屋 水場
17.02 1552m アカモの頭
18.20 580m 登山口
天候 快晴
過去天気図(気象庁) 2020年06月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
コース状況/
危険箇所等
#大笠山までは登山道明瞭
#大笠山から先の稜線は激藪、登りは100m進むのに30分ほどかかる箇所も多し
#稜線から外れ千丈平へしばらくは激笹薮、下りはマシだが登りは地獄
#千丈平は魔界の迷宮だった
#シンノ又1350mから進路を折れ沢を詰めて稜線へ、稜線まで沢登り藪は無し
#稜線から笈ヶ岳まで激藪、遅々として進まない
#行きも帰りもシンノ又まで500m下って500m登り返す、行きも帰りも同じくらい時間はかかる
その他周辺情報 五箇山くろば温泉 城端SAに温泉あり
アカモの頭を過ぎてうっすら空が色づく、月もきれいだった
2020年06月17日 03:20撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
3
6/17 3:20
アカモの頭を過ぎてうっすら空が色づく、月もきれいだった
中央剱岳、東の空が赤く染まってきた
2020年06月17日 03:42撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
17
6/17 3:42
中央剱岳、東の空が赤く染まってきた
大笠山のシルエット
2020年06月17日 03:46撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
5
6/17 3:46
大笠山のシルエット
ドンドン白んでくる、朝焼けが期待できる
2020年06月17日 03:48撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
13
6/17 3:48
ドンドン白んでくる、朝焼けが期待できる
雲海もスンバラシイ
2020年06月17日 03:56撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
26
6/17 3:56
雲海もスンバラシイ
左から目指す笈ヶ岳、錫杖岳、宝剣岳、のポコ
2020年06月17日 04:00撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
18
6/17 4:00
左から目指す笈ヶ岳、錫杖岳、宝剣岳、のポコ
避難小屋跡の水場は今日もなし
2020年06月17日 04:09撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
3
6/17 4:09
避難小屋跡の水場は今日もなし
来た尾根を振り返る
2020年06月17日 04:36撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
12
6/17 4:36
来た尾根を振り返る
稜線手前から大門山方面
2020年06月17日 04:38撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
9
6/17 4:38
稜線手前から大門山方面
キターーー、ご来光
2020年06月17日 04:39撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
37
6/17 4:39
キターーー、ご来光
白山にまず日が当たる
2020年06月17日 04:39撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
22
6/17 4:39
白山にまず日が当たる
白山の朝焼けでゴンス
2020年06月17日 04:39撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
24
6/17 4:39
白山の朝焼けでゴンス
あなたと同じずっと見つめていたい
2020年06月17日 04:40撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
25
6/17 4:40
あなたと同じずっと見つめていたい
目指す笈ヶ岳にも朝日が当たる
2020年06月17日 04:40撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
28
6/17 4:40
目指す笈ヶ岳にも朝日が当たる
稜線も赤く染まる、荘厳な夜明け
2020年06月17日 04:42撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
20
6/17 4:42
稜線も赤く染まる、荘厳な夜明け
大門山方面
2020年06月17日 04:42撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
11
6/17 4:42
大門山方面
笈ヶ岳 うーん、行くしかない、時間無制限一本勝負
待ってなさい!
2020年06月17日 04:44撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
28
6/17 4:44
笈ヶ岳 うーん、行くしかない、時間無制限一本勝負
待ってなさい!
大笠山と笈ヶ岳
2020年06月17日 04:45撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
13
6/17 4:45
大笠山と笈ヶ岳
まずは大笠山 ピクリ
2020年06月17日 04:46撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
15
6/17 4:46
まずは大笠山 ピクリ
大笠山から激藪を回避するためしばし稜線東側を綱渡りで下降
2020年06月17日 05:09撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
7
6/17 5:09
大笠山から激藪を回避するためしばし稜線東側を綱渡りで下降
笈ヶ岳が近づいてくる
2020年06月17日 05:20撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
10
6/17 5:20
笈ヶ岳が近づいてくる
稜線東側落ちたらただで済まない、安全第一なら実直に激藪に耐えるべし
2020年06月17日 05:26撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
10
6/17 5:26
稜線東側落ちたらただで済まない、安全第一なら実直に激藪に耐えるべし
落ちたら谷底まで転がっていく
2020年06月17日 05:36撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
6
6/17 5:36
落ちたら谷底まで転がっていく
稜線を折れ千丈平下降中に宝剣岳がちらり
2020年06月17日 06:29撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
7
6/17 6:29
稜線を折れ千丈平下降中に宝剣岳がちらり
千丈平には水もチョロチョロ、視界は藪で全く無、魔界の迷宮
2020年06月17日 06:56撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
12
6/17 6:56
千丈平には水もチョロチョロ、視界は藪で全く無、魔界の迷宮
こんな素敵な天国もあるよ
2020年06月17日 07:06撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
18
6/17 7:06
こんな素敵な天国もあるよ
今日は水陸両用パドルシューズ、ジャブジャブ行きまっせ
2020年06月17日 07:39撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
17
6/17 7:39
今日は水陸両用パドルシューズ、ジャブジャブ行きまっせ
シンノ又を1350mまで下降して大きな沢を左に折れ稜線へ
2020年06月17日 07:40撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
6
6/17 7:40
シンノ又を1350mまで下降して大きな沢を左に折れ稜線へ
沢には雪渓も残っていた
2020年06月17日 08:27撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
5
6/17 8:27
沢には雪渓も残っていた
沢の途中から見た宝剣岳、稜線の激藪は勘弁してほしい
2020年06月17日 08:30撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
4
6/17 8:30
沢の途中から見た宝剣岳、稜線の激藪は勘弁してほしい
沢を詰め藪無しで錫杖岳へ、目指す笈ヶ岳が見えた
2020年06月17日 08:55撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
17
6/17 8:55
沢を詰め藪無しで錫杖岳へ、目指す笈ヶ岳が見えた
錫杖岳と遥か大笠山を振り返る
2020年06月17日 09:16撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
8
6/17 9:16
錫杖岳と遥か大笠山を振り返る
もうちょいだが激藪に跳ね返され遅々として進まない、絶対にピクル
2020年06月17日 09:27撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
12
6/17 9:27
もうちょいだが激藪に跳ね返され遅々として進まない、絶対にピクル
ゴーーール!標識は熊にかじられ無残な姿に
2020年06月17日 09:47撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
40
6/17 9:47
ゴーーール!標識は熊にかじられ無残な姿に
記念写真を一枚
2020年06月17日 09:51撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
54
6/17 9:51
記念写真を一枚
白山方面
2020年06月17日 09:52撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
21
6/17 9:52
白山方面
冬瓜山からの稜線、この時期は藪地獄だろう
2020年06月17日 09:52撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
11
6/17 9:52
冬瓜山からの稜線、この時期は藪地獄だろう
槍穂方面
2020年06月17日 09:52撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
6
6/17 9:52
槍穂方面
大笠方面
2020年06月17日 10:07撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
13
6/17 10:07
大笠方面
剱岳から立山
2020年06月17日 09:56撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
18
6/17 9:56
剱岳から立山
乗鞍と雲
2020年06月17日 09:56撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
9
6/17 9:56
乗鞍と雲
白山アップで見納めてさあ帰還、先は長い
2020年06月17日 09:57撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
24
6/17 9:57
白山アップで見納めてさあ帰還、先は長い
錫杖岳から沢下り
2020年06月17日 11:02撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
9
6/17 11:02
錫杖岳から沢下り
ヨイショの自撮り
2020年06月17日 11:23撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
25
6/17 11:23
ヨイショの自撮り
水も出てきた
2020年06月17日 11:36撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
5
6/17 11:36
水も出てきた
暑すぎ、何度も頭から水浴び
2020年06月17日 11:45撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
17
6/17 11:45
暑すぎ、何度も頭から水浴び
シンノ又に合流
2020年06月17日 11:52撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
5
6/17 11:52
シンノ又に合流
緩徐な沢を詰めて千丈平へ
2020年06月17日 12:02撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
17
6/17 12:02
緩徐な沢を詰めて千丈平へ
滝もあるでよ
2020年06月17日 11:57撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
8
6/17 11:57
滝もあるでよ
シンノ又をルンルン、メチャ涼しい
2020年06月17日 12:05撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
13
6/17 12:05
シンノ又をルンルン、メチャ涼しい
大雨だとかなり水かさが増えてるみたい
2020年06月17日 12:30撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
5
6/17 12:30
大雨だとかなり水かさが増えてるみたい
千丈平から最後激笹薮を漕いで稜線に登りあげた、大笠山が見えた
2020年06月17日 14:45撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
10
6/17 14:45
千丈平から最後激笹薮を漕いで稜線に登りあげた、大笠山が見えた
帰りも東側崖トラバース作戦、灌木にぶら下がり進む
2020年06月17日 15:13撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
6
6/17 15:13
帰りも東側崖トラバース作戦、灌木にぶら下がり進む
大笠山に帰還、もうこの先藪はない、ウレチィ 感激のあまり標識を抱きしめた
2020年06月17日 15:58撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
38
6/17 15:58
大笠山に帰還、もうこの先藪はない、ウレチィ 感激のあまり標識を抱きしめた
避難小屋、快適な一夜を過ごせる
2020年06月17日 16:03撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
11
6/17 16:03
避難小屋、快適な一夜を過ごせる
笈ヶ岳はすでに雲の中
2020年06月17日 16:04撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
2
6/17 16:04
笈ヶ岳はすでに雲の中
帰りは残雪を拾いクールダウン
2020年06月17日 16:57撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
13
6/17 16:57
帰りは残雪を拾いクールダウン
新緑が眩しい
2020年06月17日 17:01撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
5
6/17 17:01
新緑が眩しい
帰りもアップダウン多いんです
2020年06月17日 17:05撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
5
6/17 17:05
帰りもアップダウン多いんです
ブナの癒やしに抱かれ
2020年06月17日 17:17撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
9
6/17 17:17
ブナの癒やしに抱かれ
やまゆりに慰められ
2020年06月17日 18:10撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
29
6/17 18:10
やまゆりに慰められ
トウヤマツツジに励まされ
2020年06月17日 18:11撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
17
6/17 18:11
トウヤマツツジに励まされ
桂湖が見えたら
2020年06月17日 18:23撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
14
6/17 18:23
桂湖が見えたら
げざーん! 17時間の完全燃焼!
2020年06月17日 18:26撮影 by  Canon PowerShot G7 X Mark II, Canon
40
6/17 18:26
げざーん! 17時間の完全燃焼!

感想

笈ヶ岳は登山道はなく激藪を回避するため通常雪のある残雪期に行くことが多い、雪のない時期ならどこから行くにも激藪に挑まなければならず200名山最難関だろう。

過去に厳冬期4回、残雪期1回、無雪期2回挑戦しいずれもワンディでピークを踏んでいる。ただ大笠山からのルートはまだ未挑戦である。一度厳冬期に挑戦したいと考えていて今回その下見も兼ねて千丈平から沢を繋ぐルートを開拓してみた。結果17時間の激藪との格闘になった。このルートは稜線の激藪を回避してなおかつ水を得られるというメリットを活かせると思ったものだが沢の中は狙い通りであったが一旦沢を外れると周囲の見えない激藪でわずか100mの距離にも30分以上かかるような場所も多くて難を極めた。

深夜23時半に自宅を出て桂湖へ向かう。大笠山の山頂で朝日を拝むマンダム作戦である。1時19分登山口の大畠谷橋をスタート、満天の星を見上げ無事帰還できるように祈った。いきなりの急登を階段、鎖を手がかりにガンガン行く。標高が低くて蒸し暑い、川の音が次第に聞こえなくなりグングン標高が上がるのがわかる。1500mまで順調に高度が上がるがこの先アップダウンが多くて高度は上がらず時間だけが過ぎて行く。

旧避難小屋跡に到着、東の空が少し赤くなり周囲も白んできた。水場には水はなかった。冬が過ぎるとホースの位置がずれて水は出なくなる。今日は千丈平で水は取れるので問題ない。ここから最後の急登をこなして稜線に出ると予定通りご来光となった。素晴らしい朝である。深夜に出なければこの感動は味わえない。山に来て良かったと思える瞬間である。まずは遠くの白山が赤く染まった。次に笈ヶ岳、そして大笠山にも日が当たる。稜線もキラッキラに輝き出した。山が一番映える時間帯である。

すぐに大笠山のピークだった。目指す笈ヶ岳の存在感が半端ない。さあ先を急ごう。この先登山道はなく激藪となる。藪は灌木笹のミックス、本当に手強い、密度が濃くて行く手を遮る。メット、サングラス、ノーズガードは必須だろう。たまらず稜線から出て東の斜面を進もうとするが足元が濡れて滑る上に傾斜が急で滑落したら谷まで落ちるのでかなり神経を使った。時間はかかるが稜線を実直に進むのが無難だろう。

1680mまで下降してここから稜線を離れて千丈平へ下降する。すぐに猛烈な笹薮になった。下りはまだマシだがこれを登り返すのは相当大変だと思った。ガンガン下ると沢筋に出て藪は薄くなり楽になった。この時期の千丈平は魔界の迷宮と言って良いだろう。全く視界はなく藪地獄だった。ぐるぐるワンデリングしてシンノ又にようやく合流できた。シンノ又は緩徐な沢で大きな滝はなかった。足元は水陸両用のパドルシューズなので水の中にジャブジャブ入る。グリップは良く濡れた岩も滑らない。

1370mまで下降し左から入る沢に合流した。この沢を詰めて稜線の錫杖岳を目指す。この沢も快適で大きな滝もなく涼しくて助かった。そろそろ日も上がり稜線は地獄だろう。水は沢の半分くらいまでありその先は涸れ沢となって藪漕ぎなく錫杖岳に到着した。目指す笈ヶ岳が藪の隙間から見える。もう目の前だ。しかし藪は激しく遅々として進まなかった。下りに比べ登りの激藪はまさに地獄だった。すぐ先に見えるのに一向に進まない、藪に突かれ全身傷だらけだ。最後の気力を振り絞り籔をかき分けると山頂に飛び出した。スタートから8時間半であった。

山頂の展望は素晴らしく白山を始め北ア全般が手にとるように見渡せた。辛い道のりだったから感慨も一入であった。ただまた帰りも長いのでピークで長居はできない。写真を撮ってすぐに帰還開始、下りの激藪はまだ許せた。サングラスをしていなければ目を突いて大変だろう。錫杖岳の登りは難儀だったがすぐに沢に入ると藪から開放されルンルンであった。日も上がり暑くてもう沢の中で頭から水浴びした。水のない稜線は地獄だろう。快適に沢を下りシンノ又まで無事下降して進路を右にとり千丈平へ向かう。最後の水場で水をたっぷり補給して頭から水を被り上りの激藪に備えた。

千丈平の迷宮を無事こなし、GPSを頼りに稜線を目指す。しばらくは涸れ沢が続いたが徐々に藪が出てきて稜線手前高度差100mは猛烈な笹薮地獄、笹が進行方向に倒れていて全く進めない、今思い出してもおぞましい、這々の体で稜線に出てここから籔を回避するため東側の崖をトラバース作戦とした。灌木にぶら下がりながら滑る足元を慎重に行く。決して人にはお勧めできない。滑落すればただではすまない。稜線の激藪をとるかどっちもどっち。

大笠山が近づいてきたもうすぐ藪から開放される。しかし山頂手前の笹薮もめちゃ難儀だった。もう勘弁してくれと天を仰いだら直にピークに飛び出した。ヤッター、もう藪から開放される。山頂で夕暮れの記念写真を取る。笈ヶ岳はもう雲の中である。さあ下山を急ごう。藪のない登山道は快適だった。途中残雪を帽子の中に入れクーリング、ガンガン下り桂湖が見えるとっ登山口はすぐだった。

17時間の完全燃焼、国道スタートの厳冬期より時間はかかった。激藪の殿堂笈ヶ岳に新たなルート開拓ができ感無量である。タイツは穴だらけ体中擦り傷だらけ、その勲章に有り余る戦果であった。

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コメント

素晴らしい!
お疲れ様です!いつも医院のブログ、記録楽しく拝見しております。大笠山日帰りでも白山よりタフなのにそこから笈ヶ岳まで藪漕ぎでいかれるとは凄いです。しかも単独で!先生の山行はいつも「自分も頑張らねば!」と刺激になります。これからもご活躍お祈りいたします。どうぞお怪我のないように。
2020/6/19 13:21
Re: 素晴らしい!
D3310様レス有難うございます。
当初午前中に帰還できるだろうとの読みでしたが、厳冬期に国道から歩いた時より時間がかかるとは思いもしませんでした。激笹薮では足も滑る上に竹に正面からつっかれ何度も天を仰ぎました。人生と同じで限界まで頑張ってこそ始めて道が拓けるんだと自分に言い聞かせました。記録のないコースに最初に足跡を残す、これが登山の醍醐味だと思います。
2020/6/19 13:52
Re[2]: 素晴らしい!
お忙しい時間の合間に私の様な者の書き込みにご返信ありがとうございます。2〜3回山ですれ違ったこともありますが、いつも下山中で風のように去って行かれました。早月尾根ではご子息のTさんもお見掛けしましたもう、大きくなられたでしょうね。またどこかでお会い出来ればお声掛けさせてください。私も同市在中の40代男で新聞などでご活躍いつも拝見しております。
2020/6/20 13:45
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2/5
体力レベル
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