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記録ID: 2733815
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ハイキング
赤城・榛名・荒船

赤城山【三夜沢赤城神社 櫃石】

2020年11月15日(日) [日帰り]
 - 拍手
子連れ登山 モンブラン その他3人
体力度
2
日帰りが可能
GPS
04:15
距離
7.3km
登り
377m
下り
377m
歩くペース
ゆっくり
1.41.5
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
3:35
休憩
0:16
合計
3:51
11:21
212
15:18
15:34
3
15:37
ゴール地点
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2020年11月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
三夜沢赤城神社駐車場に駐めさせていただきました。
トイレ有り
コース状況/
危険箇所等
櫃石までは荒れた林道のような状況でした。
櫃石東側の地形図破線を歩くつもりでしたが小径は無く、激藪ゾーンでした。ご注意下さい。
三夜沢赤城神社駐車場 スタート
早速ですが駐車場裏に気になる石祠を発見しました。
右:無銘120cm
左:無銘90cm
部材が寄せ集めのモノかと思いますが、割と古めのモノと思います。
2020年11月15日 11:22撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 11:22
三夜沢赤城神社駐車場 スタート
早速ですが駐車場裏に気になる石祠を発見しました。
右:無銘120cm
左:無銘90cm
部材が寄せ集めのモノかと思いますが、割と古めのモノと思います。
三夜沢赤城神社鳥居
由緒ある式内社なので、観光の方もちらほらいらっしゃいました。
2020年11月15日 11:27撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 11:27
三夜沢赤城神社鳥居
由緒ある式内社なので、観光の方もちらほらいらっしゃいました。
まずは安全登山を祈願して参拝です。
今日はmの師であり、某調査機関に勤務しているnさんと一緒に探検です。
2020年11月15日 11:29撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 11:29
まずは安全登山を祈願して参拝です。
今日はmの師であり、某調査機関に勤務しているnさんと一緒に探検です。
本殿前のたわら杉
藤原秀郷(俵藤太)が献木したという伝説があるそうな。
2020年11月15日 11:32撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 11:32
本殿前のたわら杉
藤原秀郷(俵藤太)が献木したという伝説があるそうな。
本殿東の斜面にも二十数基の石祠が見えましたが、立ち入り禁止とありました。
2020年11月15日 11:33撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 11:33
本殿東の斜面にも二十数基の石祠が見えましたが、立ち入り禁止とありました。
境内に気になる水源を見つけました。
湧水の祭祀が遷宮のきっかけになったのかも?
2020年11月15日 11:38撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 11:38
境内に気になる水源を見つけました。
湧水の祭祀が遷宮のきっかけになったのかも?
本殿裏にはなんちゃら神社、かんちゃら神社と合祀された八十基の石祠がズラリと並んでいました。
2020年11月15日 11:41撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 11:41
本殿裏にはなんちゃら神社、かんちゃら神社と合祀された八十基の石祠がズラリと並んでいました。
浅間神社の石碑
明治四十四年とありました。
2020年11月15日 11:43撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 11:43
浅間神社の石碑
明治四十四年とありました。
植林内の踏み跡を辿り東へ
2020年11月15日 11:49撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 11:49
植林内の踏み跡を辿り東へ
道標のある角を曲がり藪の少しあるトレイルを進みます。
2020年11月15日 11:55撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 11:55
道標のある角を曲がり藪の少しあるトレイルを進みます。
途中から舗装道になりますが、ご覧の通り土砂が堆積しておりほぼ登山道です。
2020年11月15日 12:02撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 12:02
途中から舗装道になりますが、ご覧の通り土砂が堆積しておりほぼ登山道です。
おやつタイムの小休止です。
2020年11月15日 12:07撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 12:07
おやつタイムの小休止です。
倒木などもあり、なかなかの難路です。
2020年11月15日 12:21撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 12:21
倒木などもあり、なかなかの難路です。
秋の森を進む一行
2020年11月15日 12:30撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 12:30
秋の森を進む一行
櫃石左へ五百米の標柱
分岐点を左へ。右にも小径があることを確認しました。
2020年11月15日 12:39撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 12:39
櫃石左へ五百米の標柱
分岐点を左へ。右にも小径があることを確認しました。
この辺りはなかなかの斜度でした。
2020年11月15日 12:54撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 12:54
この辺りはなかなかの斜度でした。
櫃石
周辺は刈り払われていて、広場のようになっていました。
2020年11月15日 13:05撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 13:05
櫃石
周辺は刈り払われていて、広場のようになっていました。
櫃石の説明
2020年11月15日 13:05撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 13:05
櫃石の説明
櫃石は長径約4m、高さ約3mの大岩です。
いわゆる流れ山といえるのかなと思います。
2020年11月15日 13:07撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 13:07
櫃石は長径約4m、高さ約3mの大岩です。
いわゆる流れ山といえるのかなと思います。
櫃石の北にも大岩が二つあり、
2020年11月15日 13:08撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 13:08
櫃石の北にも大岩が二つあり、
西にも一つありました。
2020年11月15日 13:13撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 13:13
西にも一つありました。
櫃石を見学しながら、ランチタイムです。
動かないと少し寒いので暖かいラーメンが最高でした。
nさんも喜んでいました。
2020年11月15日 13:24撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 13:24
櫃石を見学しながら、ランチタイムです。
動かないと少し寒いので暖かいラーメンが最高でした。
nさんも喜んでいました。
昼食後に探索を再開すると、倒木の根に抱かれた土塊から遺物を発見しました。
(茶色いチップのようなモノが土器片です。)
2020年11月15日 13:42撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 13:42
昼食後に探索を再開すると、倒木の根に抱かれた土塊から遺物を発見しました。
(茶色いチップのようなモノが土器片です。)
古墳時代の祭祀で用いられた手捏ね土器の破片
この他にも土師器の坏や甕の細片(六世紀頃)、須恵器片(九世紀頃)、縄文土器片(縄文時代後晩期、約3000年前のモノ)などが見つかりました。
定説を証明する発見に大喜びです。
2020年11月15日 13:44撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 13:44
古墳時代の祭祀で用いられた手捏ね土器の破片
この他にも土師器の坏や甕の細片(六世紀頃)、須恵器片(九世紀頃)、縄文土器片(縄文時代後晩期、約3000年前のモノ)などが見つかりました。
定説を証明する発見に大喜びです。
倒木の根に抱かれた土塊
櫃石の一段下は前庭のようになっており、祭祀で用いられた土器が大量に埋蔵しているようです。
しばらく観察したいところですが、時間が押しているため撤収です。(遺物の多くはリリースし、時期の判る数片はnさんを通して前橋市教委へ届けました。)
2020年11月15日 13:52撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 13:52
倒木の根に抱かれた土塊
櫃石の一段下は前庭のようになっており、祭祀で用いられた土器が大量に埋蔵しているようです。
しばらく観察したいところですが、時間が押しているため撤収です。(遺物の多くはリリースし、時期の判る数片はnさんを通して前橋市教委へ届けました。)
△878
少し進んだ藪中に三角点があります。ポストウォーター(キリンビバレッジ1991年)のフラスコ形瓶が転がっておりました。
「こちらはお持ち帰りすればよかったかも…」
2020年11月15日 14:02撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 14:02
△878
少し進んだ藪中に三角点があります。ポストウォーター(キリンビバレッジ1991年)のフラスコ形瓶が転がっておりました。
「こちらはお持ち帰りすればよかったかも…」
下山は東西方向の地形図破線を探索しましたが、踏み跡は無く藪しかありません。
2020年11月15日 14:03撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 14:03
下山は東西方向の地形図破線を探索しましたが、踏み跡は無く藪しかありません。
仕方がないので、クマザサの藪を掻き分けて進みます。
2020年11月15日 14:05撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 14:05
仕方がないので、クマザサの藪を掻き分けて進みます。
GPSを頼りに南東へ進みますが、藪の薄いところや獣道を下る感じです。
2020年11月15日 14:15撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 14:15
GPSを頼りに南東へ進みますが、藪の薄いところや獣道を下る感じです。
東へ進みすぎると崖があるのがわかっているので、南東へ手探りで進みました。
2020年11月15日 14:27撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 14:27
東へ進みすぎると崖があるのがわかっているので、南東へ手探りで進みました。
無事に南北方向の小径を捉えることができました。安堵の瞬間です。南北方向の地形図破線は生きていることが分かりました。
2020年11月15日 14:29撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 14:29
無事に南北方向の小径を捉えることができました。安堵の瞬間です。南北方向の地形図破線は生きていることが分かりました。
下山途中にあった赤城山オートキャンプ場の遊具で遊びます。
紅葉が絵になります。
2020年11月15日 15:04撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 15:04
下山途中にあった赤城山オートキャンプ場の遊具で遊びます。
紅葉が絵になります。
三夜沢赤城神社参道
奥の稜線が櫃石です。
2020年11月15日 15:16撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 15:16
三夜沢赤城神社参道
奥の稜線が櫃石です。
神代文字の碑
漢字が伝わる以前に使われていたとされる、神代文字を刻んだ明治期の碑。
2020年11月15日 15:20撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 15:20
神代文字の碑
漢字が伝わる以前に使われていたとされる、神代文字を刻んだ明治期の碑。
赤城塔
禰宜様にお尋ねしても場所がよく分からず、結局案内していただきました。ありがとうございました。
手前:五輪塔の火輪と地輪
右:62cmの観音様
2020年11月15日 15:31撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 15:31
赤城塔
禰宜様にお尋ねしても場所がよく分からず、結局案内していただきました。ありがとうございました。
手前:五輪塔の火輪と地輪
右:62cmの観音様
三夜沢赤城神社の宝塔(赤城塔)
124.5cmの室町期のモノです。
かなり難解な場所にあり、初見で見つけるのは困難だと思いました。
2020年11月15日 15:31撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 15:31
三夜沢赤城神社の宝塔(赤城塔)
124.5cmの室町期のモノです。
かなり難解な場所にあり、初見で見つけるのは困難だと思いました。
灑水器
神域からの尊いお水で手洗いをして、ゴールです。
2020年11月15日 15:34撮影 by  iPhone XR, Apple
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11/15 15:34
灑水器
神域からの尊いお水で手洗いをして、ゴールです。
翌日、nさんから送られてきた昭和42年の航空写真です。地形図の破線と思われる径が見えます。この頃の櫃石付近は周辺村落の茅場だったとのことで、積極的な人の出入りがあったようです。
おしまい
7
翌日、nさんから送られてきた昭和42年の航空写真です。地形図の破線と思われる径が見えます。この頃の櫃石付近は周辺村落の茅場だったとのことで、積極的な人の出入りがあったようです。
おしまい

感想

以前から気になっていた櫃石ですが、nさんに相談したところ意気投合し、一緒に踏査することになりました。

櫃石とは赤城山南面中腹にある古墳時代(六世紀頃)の祭祀遺跡である。櫃石は赤城山信仰の原初ともいえる磐座であり、赤城山の聖地とすることができるのかなと思います。

山レコというより、考古学?レコになってしまいますが、土器を発見した時は探究的興奮を味わうことができました。約1500年前の遺跡に想いを馳せ、大好きな赤城山の歴史や信仰の一端を感じることができました。

約十年振りとなるnさんとの踏査は懐かしくもあり、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。改めてnさんに感謝申し上げます。


【nさんから玉稿を賜りましたので以下に記します。】

古代祭祀遺跡としての櫃石

群馬県を代表する古代祭祀遺跡として著名な櫃石は、赤城山南麓の開発史を研究テーマとする私にとって特別なものであった。とは言えなかなか山歩きには不馴れな私にとっては一人での探訪は些かハードルが高いもので、今回のお誘いは渡しに船でもあった。

山を下りて帰宅後、手元の資料をひっくり返してみると、改めて櫃石のもつ歴史的脈絡を確認することが出来た。翌日の採集遺物の届けの際、文化財保護課の方々との話の中で得た知見も重要であった。以下に要点のみ、披露しておきたい。

櫃石は流れ山
赤城で言う流れ山とは、約20万年前の噴火で発生した山体崩壊の際、特に梨木泥流によって生じた岩屑なだれに含まれた巨大岩塊由来の小山のことで、その分布の南限は伊勢崎市の華蔵寺である。
今回踏査して、櫃石は流れ山の頂部に露出した岩塊が風化したものであると予想された。
櫃石背後で荒山からの尾根が分断されたような鞍部(あんぶ)をもつこと、赤城神社との間は急傾斜によって分断され、独立した山に見えるある種の違和感は、流れ山であると理解することで解消する。

赤城南麓と磐座(いわくら)
磐座とは巨石を神の依り代とした祭祀で、赤城南麓では左記の流れ山を利用した事例が多い。「流れ山祭式」とでもいう祭祀の形態が、古代、特に古墳時代の赤城南麓に存在していたと言われている。
今回の踏査で櫃石が流れ山の上にあると考えたられた点は大きい。つまり「流れ山祭式」の磐座で最高所に櫃石は位置しているからである。すぐ下にある式内社である赤城神社も、必然の選択によるものと考えられる。
余談ではあるが、赤城神社が現在の位置を選択したことに正統性をもたせる為、櫃石を磐座に仕立て上げたという、ある意味で捏造遺跡という意見もある。つまり近世の赤城山信仰の高まりの結果、土器や祭祀遺物を撒いたという説である。
今回の踏査で、地下深くから木の根によって引き上げられた状態が確認され、祭祀特有の手づくね土器が主体であることが確認された。近世に捏造されたのであれば、埋蔵深度は浅いだろうし、ましてや手づくね主体という組成はあり得ないだろう。
よって捏造説は否定できると考える。

まだ他にも書きたいことはたくさんあるが、口説くなるので筆は止める。何れにせよ百聞は一見にしかず、行ってみて良かったと素直に思うのであった。

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