ちくさ高原から大海里山周回
- GPS
- 05:20
- 距離
- 4.1km
- 登り
- 398m
- 下り
- 402m
コースタイム
- 山行
- 4:52
- 休憩
- 0:58
- 合計
- 5:50
天候 | 晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2022年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
大海里峠への登りは冬道のラッセル。上部は道なし。大海里山からの下りの尾根は道なし。マーキング少数あり。ラッセル。 |
その他周辺情報 | エーガイヤちくさ温泉。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
防寒着
雨具
ゲイター
ネックウォーマー
毛帽子
靴
予備靴ひも
ザック
ザックカバー
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
水筒(保温性)
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
予備電池
GPS
ファーストエイドキット
日焼け止め
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ナイフ
カメラ
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感想
ここ数か月、雪山に備えて左膝のトラブルを修復するため、軽い山行に限ってきたが、兵庫県の中部・北部が前例のないほどの大雪となった今を逃すと後悔することにもなりかねない。そこでついに雪山山行に出かけることにした。金曜日までの強い冬型が一気に緩んで、土曜日には移動性高気圧が日本の真上にやってくる予報であり、絶好の登山日和となることが期待された。雪の時期の登山で最初の心配は、実は駐車スペースの確保なのだ。大抵、除雪が行われているのは道路の走行部分のみで、夏場なら止められる道路わきのスペースなど、雪に埋もれたままで車を置くことができないのが常だ。東北の冬の山を登っていた頃に身についたのがまずは駐車スペース探しから、という習慣だ。さしたる雪は降らない兵庫県ではピンと来ない面があるが、今年のような大雪の時にはシリアスな問題である。そこで今回はスキー場のところまで確実に道が空いているちくさ高原を起点とし、駐車場も除雪されることの多い駒の尾山登山口に車を置くという想定で計画を立ててみる。そうして浮かんだのが、なだらかな山頂部の笹原が雪原に変わる駒の尾山から鍋ヶ谷山を経て周回するという当初の計画だった。
久々に中国道に乗って、今では不思議な親しみを感ずるまでになった宍粟へと向かう。ちょっと不安だった鳥ヶ乢のトンネルも問題なく抜ける。その先は雪道となるが、目的の駒の尾山登山口に無事到着。ただ、本来なら広い駐車場も除雪されているのは2−3台のスペースのみであり、且つ、除雪車の排雪場ともなっているようなので、邪魔にならないように隅っこに車を置く。やはり雪道だと時間がかかり、9時を回っている。曇ってはいるが、風もなく、ほどほどの寒さで、やる気が出てくる。たっぷり雪があるので、駐車スペースからスノーシューを装着して出発だ。
冬道のアプローチは自動車道路を少し戻ったところから鍋ヶ谷林道を入る。除雪されて積みあがった雪の上に上がって林道に入るが、予想通りトレースはない。のっけから厳しいラッセルとなる。一歩ずつ足を進めるがペースは遅くなる。林道が谷の右岸へと渡る手前で、右手に伸びる旧道へと踏み込む。雪は1メートルくらいあると思われるが、ふかふかの雪で、大分沈みはするものの、踏み心地はいい。次第に青空が広がるようになると、雪景色は一層引き立つ。そこで写真でも、と立ち止まってシャッターを押そうとしたとき、3人パーティーが登ってきて、「トレースありがとうございます」と声をかけられた。お三人には先に行っていただき、asakinuはここでトップを交代してラッセルから解放されたのだった。
最初の予定ルートはこの上で右岸の仕事道に沿って登ることとしていたが、折角のトレースを無にしたくはない。先行パーティーの後について谷筋を忠実に辿ってゆく。大分高度を稼いで道型もはっきりしなくなっていたが、主稜線は近い。ここで先行パーティーは休憩の模様である。再びasakinuはラッセル当番である。この時点で、時間が押していることから予定を変更し、駒の尾山には回らずに大海里山に登頂して周回することにしていた。大海里峠に出るべく、我々は右へと進路をとり、激急斜面を立ち木に縋っての深雪トラバースを敢行する。3人パーティーは駒の尾山を目指し、傾斜の緩い谷の右岸を登って行った。我々は小尾根の頂部に回り込んだ後、尾根上を少し登って再びトラバース、右に主稜線の弛みを目指す。そして夏道標識の立つ、なじみ深い大海里峠に飛び出した。
正面に岡山県の山並を眺め、伸びやかな主稜線に気分が和む。ここで巨大チキンカツのサンドイッチで昼食とする。主稜線には、段ヶ峰(だるがなる)方向から来た単独行者が付けたスノーシューのトレースが残る。腹が満ちてエネルギーが湧いてきた。早速行動開始である。大海里山のピークの手前には急傾斜の岩場があり、ローブが二か所にわたってつけられている。そのためいったん稜線を左側から巻いて山頂の向こう側の鞍部に出、そこからわずかに戻って山頂に立つつもりでいた。しかし、かのトレースは、まっすぐに稜線上につけられている。またラッセルするのもしんどいし、スノーシューでその御仁が下ったのなら、登れないはずもなかろうと考えて、稜線をまっすぐ、大海里山に登ることとした。
やがて見覚えのある岩場の直下にやってきた。岩もロープも全て雪の下に埋もれているが、小灌木の明るい急斜面のこの場所はすぐにそれとわかる。右下は一気に切れ落ちて高度感が小気味よい。しかし、リスキーである。クランポンがしっかり食い込んでいることを感触で確かめつつ、慎重に一歩一歩、登る。雪の下は切り立った岩であり、氷ついた古い雪の上に昨夜まで新雪が降り積もった状態にある。しかもここは日当たりがよく、雪は湿り始めている。表層雪崩の心配がある。実際、表面の雪が帯状に滑り落ちた形跡がある。雪を怒らせないようにゆっくりと歩を進める。それにしてもいい眺め!不安定な急傾斜の雪面に立ちながら、つい周囲に広がる絶景に目が行ってしまう。右は切れ落ちているので下は見えないが、その「せり出した感じ」が痛快である(危ない)。やがて傾斜が緩むと打って変わって丸みを帯びた頂稜が和やかな気分を誘う。ゆっくりと足を進めれば、360度の眺望に恵まれた大海里山の山頂に達する。ここの眺めは実に素晴らしい。ラッセルの疲れも一気に吹っ飛んでしまう。何度もすがすがしい空気を吸い込んで、全身を浄化しよう。
さて、そろそろ出発したほうがよさそうだ。気持ちの良い山頂を辞して、わずかに進んだ地点から林に入る。意外にもカラーテープのマーキングがある。尾根型は認識しづらいので注意が必要である。その後尾根型がはっきりしてくる。ひとしきり下ると傾斜が緩み、再び尾根がはっきりしない。慎重なルートファインディングを要する地点だ。黄色いテープマーキングが現れたのちは再び尾根型は明確になる。ソフトクリームを踏むようにフワフワの雪の上を快適に下る。あるのは動物の踏み跡だけだ。いい気になって下っていると、夏道との交差を見落とし、尾根末端近くまで進んでしまった。下に自動車道路が見えるので、そこまで降ってみよう。手前に仕事道があり、そこへの着地は尻ゼートで。道路の上は高い法面のように見え、降りられるかどうか心配だったが、何とか下降できるところを見つける。ここも最後は尻ゼートだ。そして除雪の雪の障壁を乗り越え、道路に降り立った。目の前には自分たちの車が見える。
左膝は物理的な痛みを訴えるものの、しっかりと堪えてくれて、こうして無事帰還で来たのは幸いであった。シーズン初回の雪山行脚はこうしてハッピーエンドとなった。
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