実際に山歩きをしていると、標準コースタイム(CT)より早く歩けることが多いと実感します。ハイカーの実際の歩行時間はCTと比べどのくらいなのか?ヤマレコに公表されている山行記録から調査してみました。
1 方法
1.1 対象コース
今回調査を行った対象コース(15コース)を表1に示しました。
1.1 対象コース
今回調査を行った対象コース(15コース)を表1に示しました。
1.2 調査方法
ヤマレコで公表されている各コースの歩行時間(片道)を無作為に集め、昭文社の「山と高原地図」に記載されているCTを基準として、次式からCT比を求めました。
CT比=(実際の歩行時間(min))/(CT(min))
また、CT比が1.0以下の山行割合と0.8以下の山行割合を求めました(サンプル数(n)50以上のコースを対象)
利尻岳、谷川岳及び塔ノ岳コースはCT比についてのヒストグラムを作成しました。
また、ヒストグラムの対象となった3コースのばらつきを見るために、CT比の変動係数(CV)を求めました。
CV=(CT比の標準偏差 σ)/(CT比の平均値)
ヤマレコで公表されている各コースの歩行時間(片道)を無作為に集め、昭文社の「山と高原地図」に記載されているCTを基準として、次式からCT比を求めました。
CT比=(実際の歩行時間(min))/(CT(min))
また、CT比が1.0以下の山行割合と0.8以下の山行割合を求めました(サンプル数(n)50以上のコースを対象)
利尻岳、谷川岳及び塔ノ岳コースはCT比についてのヒストグラムを作成しました。
また、ヒストグラムの対象となった3コースのばらつきを見るために、CT比の変動係数(CV)を求めました。
CV=(CT比の標準偏差 σ)/(CT比の平均値)
2 結果及び考察
2.1 ヒストグラム
利尻岳、谷川岳及び塔ノ岳コースのCT比のヒストグラムを図1に示しました。
2.1 ヒストグラム
利尻岳、谷川岳及び塔ノ岳コースのCT比のヒストグラムを図1に示しました。
2.2 各コースの平均歩行時間とCTの比較
各コースの平均歩行時間,CT及びCT比を表2及び3に、更にCT以内(CT<1.0)で歩いた人数割合及びCTの0.8以内(CT<0.8)で歩いた人数割合も示したものを表2に示しました。
各コースの平均歩行時間,CT及びCT比を表2及び3に、更にCT以内(CT<1.0)で歩いた人数割合及びCTの0.8以内(CT<0.8)で歩いた人数割合も示したものを表2に示しました。
3 まとめ
今回、調査した15コースに関しては、次のことが明らかになりました。
・どのコースも平均歩行時間はCTと比べ短く、CT比は0.74~0.87でした。
・コースによってばらつきはありますが、78~98%の人がCTより早く歩いています。
・CTの80%以内で歩ける人の割合も35~64%存在しています。
・コースの性質がCT比のばらつきに影響を与えることが推定されました。
今回、調査した15コースに関しては、次のことが明らかになりました。
・どのコースも平均歩行時間はCTと比べ短く、CT比は0.74~0.87でした。
・コースによってばらつきはありますが、78~98%の人がCTより早く歩いています。
・CTの80%以内で歩ける人の割合も35~64%存在しています。
・コースの性質がCT比のばらつきに影響を与えることが推定されました。
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swanさん、こんばんは〜
コースタイムは「一般的な登山者が…」と定義が書かれていますが、実際歩いてみると、ここのCTキツイ!なこともあれば、CT緩すぎ〜も。また林道区間で自転車に乗って計ったのでは?と思うほどCTキツ過ぎなことも有りました。また区間ごとにキツユル混合なケースも(区間設定を間違った?)
いっそswanさん解析の実登山者・実平均CTを使った方が良いんじゃないの?と思ってしまったりもします(^_^;)
ちなみに飯豊山では地元のNPOの方が活躍されていて、そのHPに実際に歩いて算出、山と高原地図とやりとりされている様子が書かれているのを見かけたことがあります>http://j.mp/2uuRwGP
toshiさん おはようございます
そう言われればそうですね。
ヤビツ峠から大山間や八ヶ岳はきつめに設定している実感がありますし、
越後三山のコースタイムはゆるゆるに設定しているのかと実感しています。
今回、15コース選定したものでも差が出ております。
これはすべてのコースで歩行時間がCTより下回っているにしろ、CT設定にはばらつきがあることを示してます。
無作為に15コース選んですべてCTより下回っていることは、
CTを上回る様な非常にきつめな設定しているケースは稀なのかもしれません。
他に10コース程調査しておりますが、すべてのケースで歩行時間はCTを下回っております
>いっそswanさん解析の実登山者・実平均CTを使った方が良いんじゃないの?
→ 良い案ですね。ただその日の体調のことも考慮に入れないといけないかもしれません。
ただ、toshiさんのおっしゃる通り一般化するには飛躍があるのかもしれません。
(結論の所に、「今回調査した15コースに関しては」を追加したいと思います)
ご指摘、勉強になります。ありがとうございました。
なかなか興味深い分析です。
ルートについての考察で、ピンク地のコース:100サンプル、青地のコース:50サンプル、橙地のコース:20サンプルということで全170サンプルを確認していることなど納得できるものです。
個人的には山行後記録を入力しCTと比較しています。最近1.0を超える場合も多くなりました。寄る年波なためかルートによる違いにも興味がありますが、年齢依存性にも興味があります。ルートを参考にする場合記録者のプロファイルからわかる場合には年齢なども参考にさせてもらっています。
kichichanさん
興味を持っていただき、またお褒め頂きありがとうございます。
大変うれしく思います。
サンプル数20のコースについてはちょっとサンプル数が足りなかったかなとも思います。
今現在、まさに年齢依存性について調べておりますが、ヤマレコで年齢を明示している人は少なく難航しております。
ぼちぼちデータを整理しておりますのでご期待くださいませ。
以前、私は男女別の歩行速度とCT比については調べましたので、
もしよかったら、覗いていただけると嬉しいです。
https://www.yamareco.com/modules/yamanote/detail.php?nid=2545
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