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更新日:2020年05月04日 訪問者数:1375
登山・ハイキング その他
登山道の歴史・棒ノ嶺
Teo
COVID-19の影響でろくに山行記録も公開できないこのGW、せめて昨年の7月に書いた古い登山地図をネタにした物を書いてみます。
(前回のノートはこちら→ https://www.yamareco.com/modules/yamanote/detail.php?nid=2480 )

前回書いた様に、私は歳は行ってるものの、登山を始めたのがヤマノススメの放送を見てからなので古い登山道の状況には知らない物への興味があります。

今回取り上げるのは、例年なら山頂桜が綺麗に咲いている時期、或いはそれも過ぎた時期の棒ノ嶺です。

ガイドではなかなかの健脚コースを紹介していて、登りは小沢BSから小沢峠に出てそこから尾根づたいに黒山を経て棒ノ嶺に至り、帰りは名栗川橋方面へ下りるルートを書いています。
<引用開始>
棒ノ嶺へは黒山を急降下し、湯基入のツメのやせた鞍部に出てまた尾根を登るようになり、まもなく広い草原のゴンジリ峠につく。棒ノ嶺がすぐ目の前にふっくらと盛り上がっている。カヤトの頭がさっぱりと三六〇度の展望をさかせ、ひとたび訪れた者なら永久に忘れることのできないのがこの山だ。
帰路はゴンジリ峠まで戻り、東側の巾広い防火線を下る。
<引用終了>
「広い草原のゴンジリ峠」
え?
広い草原?

これは驚きです。確かにゴンジリ峠は開けた場所ですが、草原と言うのは憚られます。ゴンジリ峠を少し棒ノ嶺側に歩くと平坦な疎林がありますが、そこまでを含めて嘗ては草原だったのでしょうか。
今ですと、木が生い茂っていて「目の前にふっくらと盛り上がっている」棒ノ嶺を見る事は出来ません。
「カヤトの頭がさっぱりと三六〇度の展望をさかせ」
weblioを見たら「山中でカヤ(イネ科の植物の総称)が広範囲に茂る場所を「カヤト」と呼ぶ」とあり、現在は北側だけがイネ科植物の原で見晴らしが効く棒ノ嶺が、昔は南側もそうだったのでしょうか。

その一方で山頂の桜の木については全く言及がありません。春の花が咲いている時期に行かないとあまり目立たないヤマザクラですが、そのせいで一言の記述もないのか、或いはこれが書かれた当時は未だヤマザクラが育っていなかったのでしょうか。

気になって古い航空写真(1975年頃)と現在の地理院の航空写真とを見比べてみました。
現在の棒ノ嶺山頂にははっきりと山頂桜と東屋が分かります。
しかし1975年頃の山頂の航空写真では何と山頂桜も東屋もありません。
マジか。あの棒ノ嶺の象徴とも言える山頂桜は随分と近年の物だったんだ。
1975年頃と言うと私はヤマノススメのあおいちゃん達と同じ様な年齢だった頃で、その頃は未だ棒ノ嶺の山頂桜が無かったかと思うと何とも言えない気持ちです。
それならそれよりももっと古いガイドでは一言も触れられない筈です。
「東側の巾広い防火線を下る」
巾広い防火線?
岩茸石迄の道は防火線だったのでしょうか。

昔の写真とかあったら見てみたいですね。

そして岩茸石からは名栗川橋方面へ下っています。
バス停の名前が今は「名栗川橋」なのですが、当時は「名栗ラジュウム温泉口」だったのですね。
湯基入左岸尾根コース
もう一点興味深いのは、岩茸石から最初は河又へのコースを下って途中の白地平でそのまま湯基入左岸尾根に突入するコースです。太い点線で書かれているのでそれなりに使われたコースの様です。

近年誰かが歩いていないか先ずはヤマレコの足跡マップを見ていたらちゃんと足跡があります。そこで検索をかけたらこの山行記録がヒットしました。
その記録からさらには横河電機山岳部山部会の記録が検索で辿れました。
今となってはどうも白地平から大名栗林道までの直撃コースは難関がありそうです。
おそらくよくあるパターンで林道が開削されて登山道を切り取ってしまった為に下りるに下りられない崖になったのではないかと思ったのですが、国土地理院の古い地図(昭和前期)を見ると一旦河又へ北東へ向かった後にすぐに南下してから東進しています。以前から白地平へは直進出来なかったのかもしれませんし、昭和の一時期だけ直進コースが拓かれたのかもしれません。
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コメント

1968年当時の棒ノ嶺について
teoimperialさん はじめまして
「登山道の歴史・棒ノ嶺」を興味深く拝読しました。
というのも、私が初めて山歩きを始めた山が棒ノ折山だからです。
昭和43年(1968年)3月29日のことで、高校1年から2年に上がる頃でした。
当時の写真を見てみると、山頂はカヤトではなく土が露出している状態でした。
私が使用した当時のガイドブックにも「・・かつて全山カヤトの頂であったが、いまはだいぶ土が現れてきてしまった。・・」と書いてありますので、私の印象は間違っていないと思います。
それから、棒ノ折山から黒山にかけての稜線は、西側が植林帯で東側が防火帯(カヤトの原?)でした。これは当時の写真でわかります。
棒ノ折山は3年ほど前に登山開始50年記念で訪れましたが、とても良い雰囲気の山頂になっていますよね。
山頂の標識も、1968年当時とほぼ同じ形で受け継がれていてうれしかったです。
そんな1968年当時の写真を入れた2年前のレコです。参考になれば幸いです。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1415141.html
2020/5/5 9:56
Re: 1968年当時の棒ノ嶺について
こんにちは。
コメント、当時の貴重な情報をありがとうございます。
昭和40年代にはカヤトから土が露出する山頂になって来ていたのですね。
また棒ノ嶺から黒山方面の写真も拝見して、見える景色も随分変わるものだと思いました。
今何気なく見てる景色ももっと沢山残しておいて「あの頃はこうだった」と思い出せる様にしておきたいものです。
2020/5/5 12:32
懐かしの棒ノ折
学生時代に登った70年代後半は桜の木どころか木は無く川苔山方面も植林はしてましたが、今より良く見えました。あの桜の木は結婚記念植樹ではないでしょうか? 80年代前半(?)登った時に小さな木切れに”結婚記念植樹”と書かれており、苗木が植えてあったのを記憶しております。 お孫さんと登っているのでしょうか?
2020/12/21 14:19
Re: 懐かしの棒ノ折
おお!何と!記念植樹とは!想像もしていなかった話です。
昔の山は今よりずっと木々が少ないと言うのは何かにつけて見受けますが、その分あちこちで展望が良かったのでしょうね。何しろ私が登山に入ったのはヤマノススメのアニメを見てからなので歴史が浅くて。
2020/12/21 21:53
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