(はじめに)
この「日本の山々の地質」の連載も、ようやく第2部の「北アルプス」編が終わりました。続いてこの第3部では、「中央アルプス」を構成する山々の地質、および地形について説明します。
ここで改めて言うまでもなく、中央アルプスは、北アルプス、南アルプスとともに、「日本アルプス」の一角を占める山脈です。
まずこの3-1章では、中央アルプスの概要と地形について説明します。
ここで改めて言うまでもなく、中央アルプスは、北アルプス、南アルプスとともに、「日本アルプス」の一角を占める山脈です。
まずこの3-1章では、中央アルプスの概要と地形について説明します。
1) 中央アルプスの概要
中央アルプスは、長野県の南部に位置し、東は伊那谷(伊那盆地)、西は木曽谷に挟まれたほぼ南北に延びる直線状の山脈です。幅はわずか15-20kmで、長さは、北端部から権兵衛峠までで約70kmある、細長い山脈です。
一方で、このように小ぶりの山脈にしては、2500m以上の高山が中核部に連なり、最高峰の木曽駒ヶ岳(2956m)を含め、中核部は3000mに近い高さを誇ることから、日本アルプスの一部として、中央アルプスの名がついています。
さて、登山界でいう「中央アルプス」は、地理学的には「木曽山脈」と呼びますが、その範囲については、微妙な差があります。
地理学上の「木曽山脈」の北端は、長野県の塩尻市の南部から始まります。南端は、通常は神坂峠(1569m)とすることが一般的です。その南にそびえる恵那山は、地理学上は、そのさらに南に広がる三河高原の一部、かつ最高峰ですが、木曽山脈の延長とする場合もあります(文献1)。
一方、登山界で言うところの「中央アルプス」は通常、2500m以上の高峰が連なる、木曽駒ヶ岳、宝剣岳、空木岳、越百山あたりの部分を指しますが、その南北につらなる山々も中央アルプスの一部とする場合もあり、明確な定義はありません。
以降は説明に混乱をきたさないよう、この第3部で扱う山脈を「中央アルプス」という用語に統一して説明しますが、実際は地理学上の木曽山脈の範囲で説明していきます。
また恵那山は、木曽山脈の南側にある独立峰ですが、地質学的特徴、地理学的特徴、山の形成メカニズムなど、中央アルプス中核部とは異なる点もあること、また日本百名山の一つでもあって登山者も多い山なので、この第3部で合わせて説明します。
一方で、このように小ぶりの山脈にしては、2500m以上の高山が中核部に連なり、最高峰の木曽駒ヶ岳(2956m)を含め、中核部は3000mに近い高さを誇ることから、日本アルプスの一部として、中央アルプスの名がついています。
さて、登山界でいう「中央アルプス」は、地理学的には「木曽山脈」と呼びますが、その範囲については、微妙な差があります。
地理学上の「木曽山脈」の北端は、長野県の塩尻市の南部から始まります。南端は、通常は神坂峠(1569m)とすることが一般的です。その南にそびえる恵那山は、地理学上は、そのさらに南に広がる三河高原の一部、かつ最高峰ですが、木曽山脈の延長とする場合もあります(文献1)。
一方、登山界で言うところの「中央アルプス」は通常、2500m以上の高峰が連なる、木曽駒ヶ岳、宝剣岳、空木岳、越百山あたりの部分を指しますが、その南北につらなる山々も中央アルプスの一部とする場合もあり、明確な定義はありません。
以降は説明に混乱をきたさないよう、この第3部で扱う山脈を「中央アルプス」という用語に統一して説明しますが、実際は地理学上の木曽山脈の範囲で説明していきます。
また恵那山は、木曽山脈の南側にある独立峰ですが、地質学的特徴、地理学的特徴、山の形成メカニズムなど、中央アルプス中核部とは異なる点もあること、また日本百名山の一つでもあって登山者も多い山なので、この第3部で合わせて説明します。
2) 中央アルプスの地形的特徴
中央アルプスは前記の通り、細長い一本の主稜線からなる山脈です。北アルプスや南アルプスは、複数の山並みが複雑に連なる大きな山地を形成していますが、中央アルプスは、その点、比較的単純で小ぶりな山脈と言えます。
一方で、小ぶりな山脈にしては、中核部に2500m以上の高峰を持っており、西の木曽谷側からも、東の伊那谷側からも、標高差が2000mを越え、非常に急峻な山脈でもあります。
これは、山脈の両側(東の伊那谷側、西の木曽谷側)に断層(逆断層)があり、これらの逆断層の動きによって大きく隆起したことでできた地形です(文献1)。
なお、それらの断層(群)の詳細とそれによる中央アルプスの隆起については、次の3−2章で説明します。
その他の地形的な特徴としては、山脈の中核部が2500mを越えることから、氷河期の氷河の痕跡である、カールが存在する点が挙げられます。
具体的にはロープウエーで簡単に行ける「千畳敷カール」が有名ですが、そのほかにもいくつかのカール地形があります。カール地形については、以降の章の個々の山域の説明のところで詳細説明予定です。
一方で、小ぶりな山脈にしては、中核部に2500m以上の高峰を持っており、西の木曽谷側からも、東の伊那谷側からも、標高差が2000mを越え、非常に急峻な山脈でもあります。
これは、山脈の両側(東の伊那谷側、西の木曽谷側)に断層(逆断層)があり、これらの逆断層の動きによって大きく隆起したことでできた地形です(文献1)。
なお、それらの断層(群)の詳細とそれによる中央アルプスの隆起については、次の3−2章で説明します。
その他の地形的な特徴としては、山脈の中核部が2500mを越えることから、氷河期の氷河の痕跡である、カールが存在する点が挙げられます。
具体的にはロープウエーで簡単に行ける「千畳敷カール」が有名ですが、そのほかにもいくつかのカール地形があります。カール地形については、以降の章の個々の山域の説明のところで詳細説明予定です。
(参考文献)
文献1) 町田、松田、海津、小泉 編
「日本の地形 第5巻 中部」のうち、4−2章「木曽山脈」の部
東京大学出版会 刊 (2006)
「日本の地形 第5巻 中部」のうち、4−2章「木曽山脈」の部
東京大学出版会 刊 (2006)
(以下のリンクは、この第3部「中央アルプス」の各章へのリンクです)
このリンク先は、「日本の山々の地質」の最初の章で、
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他の各地域、各山域の記事をご覧になりたい場合は、
このリンク先の「総目次」をご利用ください。
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【書記事項】
初版リリース;2020年9月19日
△改訂1;文章見直し、一部修正。書記事項追記。
△最新改訂年月日;2022年1月5日
△改訂1;文章見直し、一部修正。書記事項追記。
△最新改訂年月日;2022年1月5日
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