五竜岳-唐松岳 〜岩の感触〜 A27
- GPS
- 13:22
- 距離
- 19.6km
- 登り
- 2,111m
- 下り
- 1,801m
コースタイム
- 山行
- 4:57
- 休憩
- 0:09
- 合計
- 5:06
- 山行
- 7:36
- 休憩
- 0:29
- 合計
- 8:05
天候 | 7/16小雨のち強風雨 7/17小雨のち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
16日 白馬五竜(エスカルプラザ)着4:40、とおみ駅7:00発(テレキャビン、950円)アルプス平着 17日 第1ケルン発(八方アルペンライン、1,550円)八方駅着 八方(八方の湯)発15:08、新宿駅西口着21:00 |
コース状況/ 危険箇所等 |
遠見尾根 雪渓はステップを切ってくださっているお蔭で、アイゼン無しで通過。白岳手前の鎖場は長くは無いが、雨天時下りは要注意。 五竜岳分岐手前の鎖場 山荘からのピストンはサブザックが良い。岩の感触を楽しみながら、余裕をもって往復できる。 五竜、唐松縦走路 最低鞍部を過ぎてから大黒岳へのひと登りの後、眼前にわかりやすい岩が現れるため、ストックを仕舞うタイミングを逸しない。そこからは長い岩場。鎖は豊富で、身体を浮かす場所も無いが、やはり荒天時には緊張を保つ必要がある。 八方尾根 雪渓の通過には、ステップを切っていただいていても細心の注意が必要。 ※今回のコース、すべて夏道。 |
その他周辺情報 | 日帰り入浴 白馬グレースホテル700円、貸切状態。あえて「提携」の湯を外して、正解。 |
写真
感想
雨に濡れた岩場や融雪進んだ雪渓に注意を払い、眺望の得られない静かな稜線を進む。天気には恵まれなかったが、連休にしては落ち着いた山行になった。
「もう五竜に着きました。このまま30分ほど車内で休まれますか」、4時10分、運転手の声で目が覚めた。1時間早い到着だった。独り降車して、夜明けがいつ訪れたのかわからぬまま、「テレキャビン」始発までの2時間を持て余す。ベンチに横になり、今にも泣き出しそうな空を見上げる。いつまで保つのだろう。
6時15分、エスカルプラザのドアが開いた。チケットを求めようとすると「8時までは上のとおみ駅で」と教えられた。勇みながら向かう。登山届を提出し、チケット売り場の窓が開くのを待った。
7時、先陣を切って始発キャビンに乗り込む。アルプス平駅に到着し、皆がリフトに向かうのを横目に、植物園の中をゆっくりと歩き始める。少しでも体力を温存すべき、少しだけ後悔した。地蔵の頭通過後、小雨がぱらつき始めた。
小遠見山に到着する頃にも雨脚は強くならず、五竜岳や唐松岳はかろうじて姿を現していた。晴れていれば360度の眺望が得られる場所。残念ではあったが、およそ1年ぶりに北アルプスの頂に立つこと、穏やかな昂りを感じていた。
遠見尾根には急登が少ない。その長大な登り坂は、丹沢の大倉尾根を彷彿とさせる。樹林帯ゆえ虫が多いが、雨は凌げる。天候悪化を見越してか、次々と下山者とすれ違う。皆、前日の好天に満足しているように見えた。
雪渓を渡り、森林限界を越える。小遠見から西遠見までおよそ2時間、既に雨風は強くなっていた。強風は覚悟していたが、大粒の雨は聞いていない。雨に濡れた、白岳への岩場を過ぎると、最後の雪渓に差しかかる。ステップが刻まれているお蔭で、アイゼンの必要はない。
12時7分、武田菱を掲げる五竜山荘に到着した。風が強まる中、慌てず急いだ結果、予定よりも2時間弱早い時刻だった。精悍な顔つきの受付に、どのくらいの混み具合か尋ねるのが怖くて、笑顔で宿泊届を提出した。
既に「角」は占められていた。今のうちに眠るしかない。食堂で、妙に旨いチャーハンをいただき、お決まりの午睡で夜の不眠を補う。目覚めると廊下には所狭しとザックが並んでいた。午後4時半、カレーの匂いが漂う中、炊事場でパンとコーヒーを食す。今日の夕食は5回転するらしい。
結局、この晩は一人一組の布団が割り当てられた。悪天候も良いではないか。すっかり気を良くして眠りに就いた。そして翌未明、3時過ぎには目覚めた。
風は強く、雨も止んでいなかった。サブザックで行ってしまうか、フル装備で向かうか、随分迷った。結局、途中でデポすることを選び、4時には出発した。ヘッドランプの光は霧に遮られ、手さぐりに進路を掴む。岩場まで辛い時間が続く。身体が重い。呼吸を整えるために幾度も立ち止まった。
むしろ岩場の方が進みやすい。身体を上昇させることに集中し、雨風も気にはならなかった。夢中になれるだけ幸せだと改めて思う。今日後半の岩場を意識してゆっくりと進んだ。五竜岳山頂には誰もおらず眺望も無かった。360度の大展望を得られているかのごとく、ぐるりと1回転してそこをあとにした。
下山、多くの人と出会った。空身の女性二人と言葉を交わした。雨の中でも楽しそうだった。そう、今日は私も登山をとことん楽しんでいる。緊張と弛緩を繰り返しながら楽しんでいる。
山荘前で見送りの方に挨拶をし、牛首と唐松岳を目指した。しばらくは下り基調の緩やかな道が続く。霧は晴れず、風も強いまま、時折人と出会い、多くは静かな時間を楽しめた。最低鞍部まで下りてから大黒岳に登り返す。いよいよその場所は近づいた。
山荘の方のアドバイスどおり、最初の岩場を前にしてストックを仕舞い、緊張を高めた。今の私にとっては十分な岩たち、すれ違う人もおらず、後続は一人だった。鎖は多く、ホールドも豊富、慎重に進めば、たとえ雨に濡れた岩でも怖くは無い。
牛首の前で後続の青年に譲った。今度は私が一定の距離を置いて追ってゆく。足慣れた彼に落石の心配は無かった。やがて捲きながら鎖に頼らざるを得ない場所に差しかかる。なるほど、ここが核心部なのだろう。高度感を楽しみながら慎重に通過した。
唐松岳頂上山荘前にザックをデポ、サブザックに飲み物とタオルを詰め、山頂を目指した。9時8分、五竜岳を出発してから4時間弱、唐松岳に到達した。相変わらず何も見えなかったが、五竜到達と同様、達成感は十分に有った。
下山途中、霧の合間から白馬連嶺が僅かに見えた。天候回復の兆しが誰の目にも明らかだった。山荘前を通過し、トラバース路を進む。待っていたかのように山頂を目指す登山者が途切れず続く。羨ましい。このまま晴天になれば素晴らしい眺望に出会えるだろう。
ステップ刻まれた雪渓を進み、左手には不帰嶮、頂部を雲に包まれた白馬岳を望めるようになった。何度も足を止め、ため息を洩らした。
やがて丸山。ヘリの音が近づく。近づいているのはヘリではなく私の方だった。すれ違った人から事故の状況を知る。救助の間、登山路は一時的に封鎖され、多くの人が無事を祈って見上げていた。
八方池の手前で昼食休憩を取った。いつの間にか陽射しは強く、あれほど疎ましかった風が心地よかった。白馬三山の美しい姿に魅せられながら、ようやくコーヒーを楽しめた。幼い頃、父に連れられ第2ケルンまで登ってきたことを思い出した。天候悪化で池まで到達できないことが悔しかったが、今にして思えば父の判断はいつも適確だった。
すっかり整備された木道をゆっくりと下りて行く。時間にゆとりがあるためか、様々な情景を楽しめた。青空に漂うハングライダー、道端に咲く美しい花々、言葉をかけ合い登ってくる親子の姿、いずれも素敵な情景だった。のどかな時間だった。
第1ケルン到達後、2本のリフトとゴンドラを乗り継ぎ、八方へと下りる。昼過ぎ、まだ下山者は少なかった。バスの出発時刻までまだ2時間半ある。のんびり浸かれる日帰り入浴を求めた。バスターミナルへ向かう途中、偶然看板を見つけ、受付のベルを鳴らした。期待どおりの露天風呂だった。空を見上げながら、石風呂とあの岩の感触を重ね合わせた。楽しかった時間に感謝して。
kimichin2様
こんばんは。
kimichin2様が待ち望まれた夏が来ました。
ワクワクされながら、楽しくお山歩きをされた御様子がすごく伝わってきました。
途中から展望もひらけて本当によかったです。
雪渓の残雪今年は多いようですね。
お山と沸き立つ雲がなんともいいですね。
お写真を元サイズにして、ぼーっと眺めていました。
とっても心がおだやかになりました。
暑い日が続いています。
お身体には充分お気をつけください。
こんばんは。
7月に入ってから融雪ばかり願って、好天の祈りが足りませんでした。
でも天候に恵まれなかった分、「楽しい」が沢山ありました。
今日は、友が旅立ってからちょうど1年目の日です。
彼は言葉数の少ない人でしたから、話下手の僕が喋っていました。
二人で登っていて、言葉を交わさずとも、休憩のタイミング、
感銘を受けたとき、わかりました。
楽しかった。
今、独りで登っていて、時々彼に話しかけます。
山はやはりいい、よね。
reochi19さん、素敵な夏を。
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