(吹割の滝)武尊山(裏見の滝) 〜水、土、岩〜 A28
- GPS
- 08:27
- 距離
- 17.1km
- 登り
- 831m
- 下り
- 1,545m
コースタイム
- 山行
- 7:55
- 休憩
- 0:34
- 合計
- 8:29
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
当日 武尊橋BS発15:05(関越交通、1,000円)水上駅着15:30、発15:53 |
コース状況/ 危険箇所等 |
武尊牧場キャンプ場〜武尊山 雨後のせいもあり、とにかく泥濘激しく、途中からルート選びを諦める。また、迂回路に入ってからは急登が続き、中ノ岳前には、ほぼ垂直の岩壁が待ち受ける。 武尊山〜武尊神社 4ヶ所の鎖場のうち下から2番目の一枚岩は、濡れている場合には上りも下りも要注意。鎖場を過ぎても急坂続くため気を緩められない。 |
その他周辺情報 | 前泊 花咲「ぬく湯荘」:ホームページもしっかりした、人気の民宿。登山者への理解も有り、この日も私を含め3名が宿泊していた。休前日素泊まり4,000円。 |
写真
感想
武尊山横断の旅は、滝に始まり滝に終わった。途中、なぜか物足りなさを感じていたが、下山してみれば印象的な場面の多い山行だった。
当初は、前日、武尊牧場まで入り、バンガローに宿泊、夜明け前に出発する予定だったが、WEBで情報を集めているうちに、或る民宿に目が止まった。早速連絡、翌朝牧場まで送っていただけるか確認、予約した。大正解だった。
高速バスで片品を目指す。夜行でない「尾瀬号」に乗るのは初めてだった。関越道の大渋滞により、吹割の滝には1時間半ほど延着となった。前日、何気なく眺めていた画面から立寄ることを思い立った。観光客の間を縫うように、重装備の登山者が進む。滝だけをさっさと見て、取って返した。昼食後、路線バスで武尊口へ。ここが山行の出発点である。
車道をゆっくりと、前方の山々を眺めながら歩いた。やがて武尊山連山が雲を纏って現れる。明日は雲を何処かへ連れ去ってほしい、時折吹く秋風に祈った。およそ1時間後、片品花咲の民宿地区に着いた。スキー場が閉鎖され、公共交通機関によるアクセスも無くなったためか、地区の案内看板もかすんで見える。
「ぬく湯荘」には迷わず到着した。グーグルの予習が効いている。早い時間だったが、女将さんは笑顔で迎えてくれた。部屋で少しの休憩後、入浴。そして素泊まりの私のために、付近唯一の食事処「花咲の湯」へ送ってくださった。気持ちの良いレストランで天ざるを平らげ、のんびりと帰路に就く。空を見上げ、明日の晴天を確信した。
翌朝、5時過ぎに出発したいと言う私のわがままを聞き、夜明け前に牧場まで送っていただいた。素泊まりの私におにぎりまで用意して。深々と頭を下げ、気さくな女将さんを見送った。静まり返ったキャンプ場をあとにする。皇海山方向には雲が多いが、向かう西方向にそれは無い。山頂での眺望を期待して進む。
確かになだらかな道。けれどもそのことが災いした。想像を絶する泥濘の道。どこを歩けばよいか都度「ルートファインディング」を求められる。燧ケ岳の比ではない。ロングスパッツ上部まで泥だらけになった時、諦めた。
道は次第に勾配を増してゆく。ようやく泥濘から解放されたと思うや否や、今度は予想もしなかった、ほぼ垂直の壁。ここはロープじゃなく鎖だろう。高さはそれほどではないが、足がかり少なく、よく滑る。2枚の壁を乗り越えたのち、いつになく安堵感を覚え、無心で辿った道を振り返った。もう主稜線は近い。
前武尊からの道を合せると、武尊山山頂が視界に収まる。南側に目を向けると特徴的な剣ヶ峰山、そして標高2100メートルの地から望む雲海。頭上には秋空が広がっていた。上り下りの無い道を進めばやがて日本武尊の像が見える。久しぶりに聞く人の声に、山頂間近を知った。
午前9時6分、武尊山山頂に到達。泥濘に苦しめられ、岩壁に行く手を阻まれもしたが、予定どおりの時間だった。南側剣ヶ峰方向は雲が懸からず望めたが、北側尾瀬方向の眺望は得られなかった。宿で渡されたおにぎり2個を瞬く間に食す。旨かった。今回の山行ではコーヒーを持参せず、サーモスにほうじ茶、を選んでいた。まるでご厚意を予期したかのように。
今日の行程は下山の方が長い。20分ほどの滞在ののち西進を続ける。ほどなくして鎖場、ほとんどの人が登りを選ぶコース、山行前から4ヶ所の鎖場を無事下りられるか不安だった。ちょうど登りの人々が差しかかっていた。皆、ストックを手にしていた。渋滞が起きていた。間隙を縫って下りて行く。傾斜や高度感は心配したほどではなかったが、濡れた岩には十分悩まされた。
鎖場を過ぎても急坂は続く。木の根で転倒してしまわないよう気を抜かずに下りる。避難小屋に着く頃には、登りの方々とすれ違うことはほとんど無くなった。南に転進し、武尊神社に向けてひたすら下る。初夏のような清々しさ。紅葉の華やかさよりも君たち緑が好きだ。しばらく時計を止めてみた。
山頂を発ってから3時間、武尊神社に到着した。無事下山の報告をする。駐車場には「登山車」らしからぬ車たちが並ぶ。残る行程は1時間あまり、街に戻る準備を整えるにはまだ早い。そのまま裏見の滝へ下りて行った。観瀑台から望むそれは、締めくくりに相応しい情景だった。奥ゆかしい光と音にしばらく魅了されていた。そしてその場を離れる時になって、女将の笑顔を思い出した。あなたの厚意無くしてこの旅は成り立たなかった。思わず発した感謝の言葉は、滝の音に融け込んでいった。
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