平標山-仙ノ倉山 〜雪だより〜 A29
kimichin2
体力度について
- GPS
- 06:47
- 距離
- 14.9km
- 登り
- 1,335m
- 下り
- 1,343m
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| 天候 | 曇り、強風 |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2017年11月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
電車 バス
平標登山口BS発15:55、越後湯沢駅着16:30 |
| コース状況／ 危険箇所等 |
先週降った雪で数センチの積雪。アイゼンの必要は無かった。 |
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感想
バスの発車時間に合せて、新幹線に乗車する。乗客は疎ら、車窓からは青空、癒しの時間を過ごせた。「国境の長いトンネルを抜けると曇天の雪国だった」が、予報は昼から晴れ、天候の好転を疑わずにいた。越後湯沢駅に降り立つと、雪国の肌寒さを感じる。この季節、未だ寒さに慣れていない。少しだけ怖気づいてバスを待つ。
バス停「平標登山口」では、4名が降車した。すぐさま歩き始める。強風を避け、樹林帯を登る松手山経由のコースを選んだ。登山口では、登山道の始まり、国有林、クマ注意、ペット自粛、ランナー敬遠など賑やかな看板に迎えられる。
いきなり木製の階段を上がる。谷川連峰最高峰である仙ノ倉山まで標高差1,000メートル、一定のペース配分が不可欠だが、今朝は体調が良さそうだ。休むことなく鉄塔に到達、既に左右には霧氷を纏った木々の姿があった。樹林帯を抜け、風を受け続ける時間が始まった。
ほどなくして右手中腹に美しい光景が広がった。やはり紅葉の華やかさよりも霧氷の潔さに、私は魅かれるようだ。立ち止まり、しばらく見とれてしまう。やがて10時をまわり、前方より賑やかな声が聞こえてきた。松手山山頂には6人のパーティがいた。南方向に開けていたが、残念ながら何も見えない。一足先に出発させてもらい、平標山を目指す。
稜線、予想どおり風が強い。時折足を止め、やり過ごす。晴れていればこの上なく気持ちの良い道なのだろう。モノトーンの世界に浸れる代わりに、眺望は諦めなくてはならない。一の肩をいつの間にか過ぎ、山頂への急登に取り掛かる。
平標山に、人の姿は無かった。人気の有る山、昼前、誰か居ても良さそうだったが、強風は少しの滞在も許してくれない。暫時迷ったが、結局計画どおり仙ノ倉山に向かった。足跡は往復一人分、ここまでにすれ違った年配の方のものだろう。
鞍部まで木階段を下りてゆく。よく滑る。そして風速は20メートルを超えていそうだ。広い尾根道だから外れても怖くはないが、むやみによろけるのは避けたい。両側のロープを頼りにゆっくりと前進する。
気温マイナス5度、風速20メートルとして、体感温度はマイナス20度に近い。左側北西方向からの風、露出させている顔や耳に時折手を当てる。例によって立ち止まり、やり過ごしていると、左側を単独行の女性が通り抜けて行った。いかにも身軽、それだけに後ろから見ていると飛ばされないか、余計な心配をしてしまった。
仙ノ倉山への登りはなおも続く。大分体力を消耗していた。俄かに重たくなった足を一歩ずつ持ち上げていると、さきほどの女性が戻ってきた。山頂には少しもいられなかった、と言う。が、目は微笑んでいた。暴れる風を甘受し、楽しんでいるかのようだった。
そして山頂。ストックで耐風姿勢訓練。「サーモス」の中のほうじ茶はまだ熱いのに、ふたを開けるのに4分間では短かった。興味本位でその先を見る。カモシカの足跡のみが続いていた。
引き返す。右手より風を受ける。僅かだが往路より弱くなった気がした。午後1時、忘れた頃に陽が射す。ようやく青空が見られるかもしれない。けれども今日は見られなくともよい、そう思い始めていた。霧氷と白き世界、雪の感触、十分に堪能した。
再び、平標山に立つ。2時間前よりも明らかに風は収まりつつあった。車中で食したパンが効いている。食事のための休息は不要だった。平標山ノ家への稜線を辿る。急速に天候は回復するのだろう。振り返れば平標山と青空が望めた。
木製階段、南面ゆえ雪解け早く、よく滑る。一度転倒し、ザックに救われた。数日前に閉めた山荘はひっそりと佇み、展望テラスにも雪が積もっていた。休憩を諦め、予定より1本早いバスに乗車するため、平元新道を駆け下りる。この新道、終始階段状で、途中から飽きてきた。標高差470メートルを下り、登山口へ。そこからは林道をひたすら歩く。
果たして登山口のバス停には、発車予定時刻の10分前には着けた。諦めず歩き続けた甲斐あった。越後湯沢駅でのんびりと、予約した列車を待つことができる。朝、バスを降りてからようやく座れる。何より嬉しかった。暫らく茫然としていた。色彩有る世界へと戻るのに、もう少し時間がかかりそうだった。
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