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Yamareco

記録ID: 479910
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無雪期ピークハント/縦走
甲斐駒・北岳

仙丈ヶ岳 〜かの微笑みは 友のために〜 A2

2014年07月20日(日) [日帰り]
 - 拍手
体力度
3
日帰りが可能
GPS
07:01
距離
9.1km
登り
1,126m
下り
1,113m
歩くペース
標準
0.91.0
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

北沢峠6:00-二合目6:30-大滝ノ頭7:25-8:15小仙丈ヶ岳8:20-9:15仙丈ヶ岳9:40-10:00仙丈小屋10:25-馬の背ヒュッテ10:55-11:15薮沢小屋11:25-12:50北沢峠
天候 晴れのち曇り一時雨
過去天気図(気象庁) 2014年07月の天気図
アクセス
利用交通機関:
バス
往路19日(土)22:40竹橋毎日新聞社前発(登山バス「毎日あるぺん号」6,200円)
  20日(日)5:00(定刻は5:40)戸台仙流荘着、
      5:10仙流荘発(南アルプス林道バス1,340円)5:55北沢峠着
復路20日(日)13:00北沢峠発(南アルプス林道バス1,340円)13:50仙流荘着、
      14:58仙流荘発(長谷循環バス310円)15:25高遠駅着、
    15:30高遠駅発(JRバス関東高遠線520円)15:58伊那バス営業所着、
      16:25伊那市(伊那バス営業所)発(中央高速バス3,500円)
      20:45(定刻は19:45)新宿高速バスターミナル着
予約できる山小屋
馬の背ヒュッテ
北沢峠 こもれび山荘
北ア、中央ア・南ア、八ヶ岳・奥日光方面の順に受付。
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北ア、中央ア・南ア、八ヶ岳・奥日光方面の順に受付。
各地に向け次々と出発してゆく。
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各地に向け次々と出発してゆく。
毎日あるぺん号、戸台仙流荘行き。
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毎日あるぺん号、戸台仙流荘行き。
夜行バスが定刻より早く着いて、南アルプス林道バスが臨時便を出してくれたお蔭で、、、
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夜行バスが定刻より早く着いて、南アルプス林道バスが臨時便を出してくれたお蔭で、、、
北沢峠を1時間早く出発できた。
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北沢峠を1時間早く出発できた。
好天の下、登山開始。
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好天の下、登山開始。
陽の光さえ。
逸る気持ちを抑え、できるだけゆっくりと歩く。
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逸る気持ちを抑え、できるだけゆっくりと歩く。
二合目。
三合目。
四合目。
大滝の頭(五合目)、予定よりもかなり早く通過、午後の悪天候は回避できる。
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大滝の頭(五合目)、予定よりもかなり早く通過、午後の悪天候は回避できる。
森林限界が近づく。
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森林限界が近づく。
六合目。
振り返ると甲斐駒と鋸岳がまだはっきりと見える。
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振り返ると甲斐駒と鋸岳がまだはっきりと見える。
好天に感謝いたします。
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好天に感謝いたします。
穏やかな稜線が続く。
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穏やかな稜線が続く。
甲斐駒、仙水峠。
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甲斐駒、仙水峠。
北側の眺望しか開けないためもう1枚。
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北側の眺望しか開けないためもう1枚。
小仙丈ケ岳。
この情景を得られるようこの数日間祈り続けた、、、
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この情景を得られるようこの数日間祈り続けた、、、
感謝いたします。
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感謝いたします。
穏やかで気高き峰。
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穏やかで気高き峰。
岩場を振り返る。
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岩場を振り返る。
女王の微笑みは一瞬だった。
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女王の微笑みは一瞬だった。
馬の背に陽が注ぐ。
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馬の背に陽が注ぐ。
八合目。
仙丈小屋への分岐。
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仙丈小屋への分岐。
仙丈小屋を見下ろす。雷雲が近づいたら駆け下りよう。
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仙丈小屋を見下ろす。雷雲が近づいたら駆け下りよう。
薮沢カールと仙丈ケ岳。
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薮沢カールと仙丈ケ岳。
頂上までは一投足。
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頂上までは一投足。
仙丈ケ岳。
小仙丈ケ岳方面を望む。
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小仙丈ケ岳方面を望む。
さすがに南側の眺望は全くない。
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さすがに南側の眺望は全くない。
ガスが行く手を覆う。
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ガスが行く手を覆う。
地蔵尾根分岐。
仙丈小屋前にて、何も見えない薮沢方面に向いて軽食。
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仙丈小屋前にて、何も見えない薮沢方面に向いて軽食。
小屋から仙丈ケ岳を見上げる。
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小屋から仙丈ケ岳を見上げる。
再び背丈ほどのハイマツ。
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再び背丈ほどのハイマツ。
丹渓新道分岐。
馬の背ヒュッテを横目に通過。
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馬の背ヒュッテを横目に通過。
薮沢には残雪多く踏み抜きの危険が充ちる。渡渉地点でレンジャーの方がテープを貼っておられた。
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薮沢には残雪多く踏み抜きの危険が充ちる。渡渉地点でレンジャーの方がテープを貼っておられた。
薮沢新道分岐で見上げる。
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薮沢新道分岐で見上げる。
薮沢小屋。到着とほぼ同時にとうとう降ってきた。
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薮沢小屋。到着とほぼ同時にとうとう降ってきた。
今年初の雨具完全装備で進む。
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今年初の雨具完全装備で進む。
大雨後は厄介な場所になるのだろう。
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大雨後は厄介な場所になるのだろう。
大滝の頭付近で止む。再び日差しが。
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大滝の頭付近で止む。再び日差しが。
北沢峠。

感想

 竹橋の毎日新聞社前には所狭しと大型バスがひしめき合っている。そして社屋の中、1階ロビーでは多くの登山者たちが受付開始を待ちきれず、そわそわと動き回っていた。「23時55分発長野行き最終列車はこちらにお並びください」はるか彼方に消えかけていたあの頃の情景が重なる。
 中学3年の夏、北アルプスの表銀座を縦走し、槍ヶ岳から誇り高き穂高を見て、上高地で梓川の清流を感じ、登山の素晴らしさを知った。その後の私にとって「山の師」は、井上靖の「氷壁」であり、新田次郎の著作群であり、そして恋敵でもあった親友Sだった。高校2年の夏、私たちが涸沢定着で北穂高岳や奥穂高岳を攻めていた頃、Sは一人、槍から大キレットを経た穂高への縦走をいとも容易く成し遂げていた。穂高岳山荘の前で彼と予定どおり会えた時、私はその笑顔を気高き穂高の雄姿に重ね、敬服の念を抱きながら見つめていた。昨秋、山行を開始した時には、この日が来るとは思えなかった。私が再びアルプスに、彼が好きだった山に登る日が訪れることなど。
 バスは定刻どおりに出発した。定員のほぼ半数の座席が埋まっていた。途中、石川PA、八王子駅、諏訪SAで休憩、時間調整を行う。南アルプスの女王よ、どうか微笑みたまえ。午前2時を回った頃、私はこの数日間願い続けてきたこの言葉と共にようやく眠りにつけた。
 仙流荘には定刻より40分早く到着した。もう夜は明けていた。急ぎコンタクトレンズを入れた頃、他の乗客は南アルプス林道バスの発券に並んでいた。上空には予想を裏切る晴れ間が見え隠れしている。「てんきとくらす」の予報が勝った、私は嬉しくて感謝の気持ちと共に何度も仰ぎ見た。
 臨時バスを出していただいたお蔭で、予定よりも1時間早く北沢峠に到着した。夜行疲れと気圧の変化に慣れるため、ゆっくりと登り始める。およそ1000mの標高差とはいえ、奥多摩の急登と異なり、原生林の中、少しずつ高度を稼ぐ。木々の間から日差しが背に降り注ぐ。梅雨明け直前とは思えない、気持ちの良い登山が始まった。
 それでも五合目の大滝の頭には予定より1時間50分早く到着した。曇りで何も見えないことを覚悟してきただけに、雲や霧の間から山々が垣間見える瞬間がいとおしかった。やがて森林限界を越え、小仙丈ケ岳に近づく。私はもう一度祈った。
 素晴らしかった。優美な姿に時を忘れそうになる。あまりにも上出来で少し不安になり、先を急ぐ。果たして5分も経たないうちに仙丈ケ岳は霧に包まれた。女王の一瞬の微笑みだった。岩場を越え、思わず走りたくなるような穏やかな稜線を進み、右手に薮沢カールと仙丈小屋が見えれば山頂はまもなくである。さすがに白根三山や富士を望む南方の視界は開けない。しかしながら時折見える青空や甲斐駒の雄姿に感謝の念が強まる。久しぶりの3000m峰に吹く風は優しかった。
 仙丈小屋に着き、何も見えない薮沢方面に向かいながら軽食をとる。霧が山頂への視界も閉ざす。名残惜しいが、森林限界の上でやがて来たる雨雲や雷雲の下に居たくはない。予定よりも2時間早く行動できただけでも良しとすべき、そう言い聞かせて下山することとした。丹渓新道への分岐、馬の背ヒュッテを通過し、薮沢小屋に近づいた頃、雨が降り始めた。すぐに止まないことを想定し、小屋の軒先で雨具を装着したがおよそ30分で上がった。
 五合目からの1時間は例によって落ち着かない時間帯となった。13時発のバスに乗ることを決めたため、少し急いで、雨上がりですべりやすい石や土に注意しながら無心で下りる。10分前に北沢峠に到着、満員のバスは定刻に出発した。
 予定では仙流荘から茅野まで直通バスに乗るはずだったが、発車まで3時間あるため、伊那から高速バスを使うルートを選択した。結局6本のバスにより東京から登山口を往復することとなった。伊那市バスターミナルから高速バスに乗り込み、車窓から南アルプスにかかる巨大な積乱雲をぼんやりと見ていた。そして深い眠りに就く前、その雲の向こうにSの笑顔を見た気がした。

※この山行記録は以下の投稿キャンペーンに参加しています。
「想い出の山」写真&レポートコンテスト 「山行記録部門」 by モリパーク アウトドアヴィレッジ(MOV)
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