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Yamareco

記録ID: 493263
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
中央アルプス

木曽駒ヶ岳-将棊頭山-権現山 〜風雨の中で虹を想う〜 B15

2014年08月12日(火) 〜 2014年08月13日(水)
 - 拍手
体力度
3
日帰りが可能
GPS
29:27
距離
16.5km
登り
534m
下り
2,435m
歩くペース
標準
1.01.1
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
3:30
休憩
0:05
合計
3:35
6:10
45
6:55
6:55
5
7:00
7:00
25
7:25
7:25
5
7:30
7:30
20
7:50
7:55
15
8:10
8:10
55
9:05
9:05
25
2日目
山行
4:25
休憩
0:50
合計
5:15
6:00
10
6:10
6:20
10
6:30
6:45
15
7:00
7:00
80
将棊乃頭
8:20
8:20
40
五合目
9:00
9:00
65
10:05
10:10
35
10:45
11:05
10
とある川辺
11:15
中央道西春近BS
8/12 千畳敷駅6:10- 乗越浄土6:55-宝剣山荘7:00-中岳7:25-駒ヶ岳頂上山荘7:30-7:50木曽駒ヶ岳7:55-濃ヶ池分岐9:05-遭難記念碑(聖職の碑)9:30-9:45西駒山荘(泊)
8/13 西駒山荘6:00-6:10将棊頭山6:20-6:30西駒山荘6:45-将棊乃頭7:00-五合目8:20-権現山9:00-10:05権現山登山道入口10:10-伊那スキーリゾート10:35-10:45とある川辺11:05-11:15西春近BS
天候 12日 雨
13日 晴れ
過去天気図(気象庁) 2014年08月の天気図
アクセス
利用交通機関:
バス ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
8/11 竹橋毎日新聞社前22:40(毎日あるぺん号)6,200円
8/12 04:10菅の台バスセンター04:55(伊那バス)05:30しらび平駅05:40
   (駒ヶ岳ロープウェイ)5:47千畳敷駅 2,030円
8/13 中央道西春近13:15(中央高速バス)16:15新宿高速バスターミナル 3,700円
コース状況/
危険箇所等
・木曽駒ヶ岳〜(馬の背)〜西駒山荘
 強雨の中ひたすら歩いたが、道はしっかりしており、風が強くても滑落の心配もなく、アップダウンもほとんどない。晴れていれば実に気持ちの良い2700m級の稜線歩きが楽しめるはず。聖職の碑から望む三山は特に素晴らしいようである。
・西駒山荘〜(権現づるね)〜権現山〜伊那スキーリゾート
 地図や参考記録などから長〜い下りを覚悟していたが、それほどでもなかった。樹林帯に入ってからしばらく藪漕ぎ箇所もあるが(雨後のため出発時からレインパンツを着用した)、道は明瞭、迷うこともない。ただ、熊鈴はブンブン鳴らし続けた。権現山から先が疲れも出る頃で、少し退屈する。
※単独行には最高のルートである。駒ヶ岳から先は訪れる人も少なく、静かで気持ちの良い稜線歩きと標高差1500mを緩やかに下る樹林帯歩きを楽しめる。
その他周辺情報 ・西駒山荘
 8月にリニューアルオープンしたばかりの小屋。きれいなのは勿論、小屋の窓(北東)からの眺望は素晴らしく、少し上ったピークからご来光も眺められる。管理人の対応や山の知識も十分で安心かつ寛げる。
毎日あるぺん号、今回は30人乗中型バス。
2
毎日あるぺん号、今回は30人乗中型バス。
臨時バスは4:55に出発。
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臨時バスは4:55に出発。
ロープウェイは9分間隔のフル回転。
2
ロープウェイは9分間隔のフル回転。
安全祈願し、出発。
2
安全祈願し、出発。
カール下でも視界悪く、雨は止みそうにない。
2
カール下でも視界悪く、雨は止みそうにない。
稜線の状態が気になる。
2
稜線の状態が気になる。
風さえ強くならなければ。
1
風さえ強くならなければ。
乗越浄土。
宝剣山荘で休み、態勢を整える人は多かったが、休憩料300円を惜しみ先を急ぐ。
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宝剣山荘で休み、態勢を整える人は多かったが、休憩料300円を惜しみ先を急ぐ。
天狗荘。
中岳まき道分岐。そろそろ撮影が困難になってきた。
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中岳まき道分岐。そろそろ撮影が困難になってきた。
木曽駒ヶ岳山頂。
6
木曽駒ヶ岳山頂。
全く眺望なし、人も少なし。
3
全く眺望なし、人も少なし。
伊那側の社。登頂感謝、安全祈願。
3
伊那側の社。登頂感謝、安全祈願。
さあ、馬の背へ。
1
さあ、馬の背へ。
岩場続きだが晴れていれば快適な稜線歩きである。
2
岩場続きだが晴れていれば快適な稜線歩きである。
道はしっかりしており高度感あっても不安はない。
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道はしっかりしており高度感あっても不安はない。
少しガスが晴れてきた。
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少しガスが晴れてきた。
濃ヶ池が見える。
2
濃ヶ池が見える。
それにしてもよく降る。
1
それにしてもよく降る。
濃ヶ池分岐、池は上から見たからよしとしよう。
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濃ヶ池分岐、池は上から見たからよしとしよう。
先を見たい。
遭難記念碑(聖職の碑)
3
遭難記念碑(聖職の碑)
見返しても三山見えず。
1
見返しても三山見えず。
将棊頭山分岐、日本百高山だがそろそろ限界、小屋へ向かう。
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将棊頭山分岐、日本百高山だがそろそろ限界、小屋へ向かう。
霞む西駒山荘、今はコマクサを見るゆとりなし。
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霞む西駒山荘、今はコマクサを見るゆとりなし。
高まる期待感。
西駒山荘到着、予定より2時間早かったが快く迎えてくれた。
2
西駒山荘到着、予定より2時間早かったが快く迎えてくれた。
2階客室、まだ新築の香りのする清々しい空間だ。
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2階客室、まだ新築の香りのする清々しい空間だ。
小屋から東方向を望む。清潔なトイレ棟も。
2
小屋から東方向を望む。清潔なトイレ棟も。
雨が上がり青空も見える。
4
雨が上がり青空も見える。
「空」のある明日を待つ。
10
「空」のある明日を待つ。
日の出前に輝く、スーパームーン+1日の月。
9
日の出前に輝く、スーパームーン+1日の月。
日の出を待つ三山。
2
日の出を待つ三山。
南アルプスが雲海に浮かぶ。
9
南アルプスが雲海に浮かぶ。
西駒山荘と将棊頭山も日の出を待つ。
1
西駒山荘と将棊頭山も日の出を待つ。
夜明けを待つ雲海。
4
夜明けを待つ雲海。
八ヶ岳から日が昇る。
15
八ヶ岳から日が昇る。
朝日に輝く三山。
5
朝日に輝く三山。
将棊頭山へ。
北アルプス。
将棊頭山から見る西駒山荘。
3
将棊頭山から見る西駒山荘。
将棊頭山山頂。
木曽駒と宝剣岳。
10
木曽駒と宝剣岳。
南アルプス越しに富士山も。
8
南アルプス越しに富士山も。
やはり青空が似合う。
3
やはり青空が似合う。
浮かぶ御嶽山。
西駒山荘殿、また来ます。
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西駒山荘殿、また来ます。
将棊乃頭へ。
振り返ってもう一度。
2
振り返ってもう一度。
深き森に入る前に八ヶ岳を。
5
深き森に入る前に八ヶ岳を。
原生林の中を時に薮漕ぎしながら進む。
4
原生林の中を時に薮漕ぎしながら進む。
道は明快、1本道だが時折道標も。
2
道は明快、1本道だが時折道標も。
緩やかに時に急坂にて高度を下げゆく。
1
緩やかに時に急坂にて高度を下げゆく。
明るくなったら五合目。
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明るくなったら五合目。
しばらくこんな道も続く。
3
しばらくこんな道も続く。
権現山、尾根の途中にある。
2
権現山、尾根の途中にある。
権現山の社。
登山口への分岐。
1
登山口への分岐。
土俵跡。
このあたりから疲労が出始める。
2
このあたりから疲労が出始める。
権現山登山口。
伊那スキーリゾートのゲレンデ。
1
伊那スキーリゾートのゲレンデ。
左は登山口、駐車場は右。(振返り)
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左は登山口、駐車場は右。(振返り)
伊那スキーリゾート、イベント開催中だった。
1
伊那スキーリゾート、イベント開催中だった。
ここからは舗装路を少し。
1
ここからは舗装路を少し。

感想

 学生時代、中央アルプスにはなぜか興味が湧かなかった。制定された山の日、すなわち今日が誕生日である人を訪ねて名古屋に通っていた頃でさえ、かの山々は車窓からぼんやり眺める存在だった。
 先日も乗車した毎日あるぺん号「戸台口」行きは、今夜は30人乗り中型バス、定刻どおり発車した。乗客は定員のほぼ半数、例によって隣はいない。休憩のペースや車内の雰囲気を掴んだせいか幾分休めたが、浅い眠りに変わりはない。菅の台到着直前に無情の雨が降り始めた。
 4時10分、期待どおり予定時間より早めの到着、すでに15人ほどが発券窓口前に並んでいた。雨足は徐々に強まっていた。バス、ロープウェイの片道切符を購入し、屋根付のバス停で始発を待つ。駒ヶ根駅からのバスではなく当地始発の臨時バスが頼もしく横付けされた。事前情報によれば昨日は夕方までロープウェイが止まっていたそうだから、運行会社も増発を惜しまないのだろう。
 しらび平からのロープウェイも9分間隔のフル回転で続々と登山者たちを運び上げる。予定より少し早く千畳敷に着けたが、予想どおりカール下でも風雨は強まりつつあった。ロビーは、様子を見ながら雨具の装着をゆっくり行う人であふれていた。レインハットで凌げなくなった時点で進退考えるべし、憂鬱な空の下、出発する。
 見上げても見下ろしても白き世界が広がる。山岳雑誌で見た青空と岩の対比が脳裏を過るが、すでに叶わぬ幻。乗越浄土で先を行く団体に追いつき、宝剣山荘で皆が休息している間に小屋裏の登山道へ。周囲には戸惑いながら先を急ぐ単独登山者たちの姿があった。中岳、頂上山荘を経て駒ヶ岳山頂に着く頃、最早レインハットは役目を終えていた。撮影の度に、防水仕様のスマホでもさすがに心配になるほどの雨量である。眺望も得られず、雨を凌げる場所はこの先ルート上皆無である、歩くしかなかった。計画より1時間早く山頂をあとにする。
 ここの馬の背は素晴らしいルートなのだろう。晴れていれば実に気持ちの良い稜線歩きを楽しめそうだ。道はしっかりしており少々の風でも不安はない。余計なアップダウンが少ないのも好感が持てる。それにしてもフードを叩きつける雨の音がうるさい。何故ここにいるのだろう、疑問を打ち消せずにひたすら歩く。濃ヶ池を右手に見下ろし、雪がずいぶん残っているのを確認し分岐を通過した。やがて遭難記念碑。晴れていれば駒ヶ岳、宝剣岳、空木岳の三山が美しく眺められるそうだが、これも叶わぬ夢。碑に向かい手を合わせる。すでに頭の中は、温かい山荘の中で寛ぐことのみ、将棊頭山への分岐では迷わず直進した。
 ほどなくして行く手にその姿が浮かび始めた。新装なった西駒山荘は凛々しくそして何より頼もしく映った。石室と新築山荘をつなぐ庇の下で雨具を脱ぐ。時に9時45分、あまりに早い到着に恐る恐る引戸を開けると、管理人がカウンター越しに微笑んでいた。お早いお着きで、この一言で張りつめていた緊張の糸が一度に消えて、安堵の気持ちで満たされた。丁寧な案内に従い石室で雨具や服を干し、チェックインを済ませる。貧血だか高山病だかわからないが気分の悪いことに気づき、2階の客室で横になることにした。食欲なくウイダーインゼリーのみを流し込む。やがて昼頃から暴風雨に変わり、スマホでロープウェイが止まったことを知る。
 2階には私だけ、行動中想像していたのはもう少し元気な姿だったが、考えてみれば贅沢な時間だ。標高2700mの山荘でのんびりと何もせずにいる。横になったり、食堂でお茶をいただいたり、本を読むうちにかなり回復してきた。夕食までの時間は長く感じられなかった。14時すぎに今日のもう一人の宿泊客が到着した。権現山から登ってきたという。途中、風雨が強く諦めることも考えたらしいが、周辺を熟知していることで歩き続けられたようである。標高差1500mを7時間休むことなく登り続けて来ただけでも賞賛に値する。
 夕食後、外が明るくなった。いつしか雨は止み、強い風が雲や霧を振り払っていた。虹は見られなかったが、湧き立つ雲と夕陽に照らされる北の空を、しばらく見つめていた。
 スーパームーン+1日の月が輝く西の空も、徐々に明るさを取り戻してきていた。いよいよその瞬間が近づく。登山を再び始めるようになってからようやくご来光を得る。誰もが感謝と祈りに満ち溢れるとき。山荘管理人の奨めで、下りる前に空身で将棊頭山へ行くことにした。小屋からは15分ほどで着く。360°の素晴らしい景色がそこにはあった。北ア、八ツ、南ア、そして中央アルプスの三山と御嶽山。いつまでも眺めていたかった。
 名残惜しいが、高速バスの時間も気になる。管理人と名古屋から来た同宿者に感謝の気持ちを表し、東に向かって歩き出す。将棊乃頭までは岩稜を進み、そこからはいよいよ深い森、権現づるねに入る。しばらくは薮漕ぎの必要な箇所もあり、装着したレインパンツとダブルストックが威力を発揮する。そして何より熊鈴だ。いつも以上にブンブン鳴らしながら少々早足で歩く。以前は熊の存在など意識しなかったのに、報道や看板を見聞きする度に遭遇事態を想像してしまう。
 しかし、これではせっかくの森林歩きを楽しめない。開き直ることにした。「虹を待つ人」と「レットイットゴー」をいい加減な歌詞で歌いながら進む。予想よりも変化に富んだ良い道である。迷う個所もなく、登り返しはほとんどない。やがて歌い続ける自分が少し恥ずかしくなってきた頃、視界が開け、標高2096mの五合目に着いた。実際にはまだまだなのだが、大分人里に近づいた気持ちになる。
 権現山へはさらに尾根道を小一時間歩く程度だが、風が心地よく小鳥のさえずりにもようやく耳を傾けられるようになった。権現山ルートは地図により、記録により、様々なコースタイムが記載されており、どの程度早いのかわからないが、4時間の予定を組んだ権現山への行程を2時間15分で歩いてしまった。権現山を過ぎると一組の、この日に出会った唯一の登山者とすれ違った。やがて土俵跡を過ぎる頃から疲れが出始めた。道が単調に感じられる。休憩を多く取りながら慎重に下りる。
 登山口からは車の通れる道を進むのだが、かなり急勾配で滑らぬようこれまでにも増して注意が必要だった。或る団体がスキーリゾートを借り切って音の出るイベントを開催していたため、早足で通過し疲労はピークに達していた。幸い、道から少し入ったところに沢が流れており、ようやく腰を下ろすことができた。せせらぎが心地よい。ここから中央道のバス停は10分程度のはずだ。予約したバスより1本早く乗れるか訊いてみよう。横になって空を見上げる。待っていた空だった。不意に先刻口ずさんでいた歌の正しい詞を思い出した。

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