四阿山 〜霧とレンゲツツジ〜 B26
- GPS
- 11:54
- 距離
- 15.3km
- 登り
- 1,105m
- 下り
- 1,124m
コースタイム
天候 | 雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
当日往路 長野駅 5:24(信越本線-しなの鉄道770円) 6:05 上田駅 7:05(上田バス500円)7:55 菅平高原ダボスBS 復路 菅平高原ダボスBS 15:45(上田バス500円)16:40 上田駅 (北陸新幹線)〜 ※夜行高速バス:独立3列コンセント付は1号車のみで早めの予約が必要、臨時便は同料金でスタンダードタイプです。 ※菅平高原バス:7/1から夏期運行、途端に本数が増えます。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
レンゲツツジの群生に見とれながら樹林帯を抜けると、気持ち良く開けた稜線が現れる、はず。手を使う場所は1個所だった、と思う。 |
その他周辺情報 | 菅平牧場のソフトクリーム(350円) 菅平プリンスホテルの日帰り温泉(500円) |
写真
感想
この時期、こんどの山行だけでなく、次の、その次の山行まで計画しておく必要があるため、どうしても間近に迫った山行の調査が疎かになってしまう。効率的なアプローチや余裕のある家路を確保しようとするあまり、結果、肝心なコースイメージやルート選択に関して情報不足のまま登り始めることとなる。夏でも冬でもない、オフシーズンの菅平へ日帰り弾丸山行が可能であると判明した段階から、今回のように余裕のない山行は始まった。
夜行の高速バスでは、隣席に座る人次第で安眠できるかどうか分かれるのだが、独立3列シートではその心配がない。今回初めて乗車したが、予想をはるかに上回って快適な5時間を過ごせた。乗客のほとんどが長野駅下車。5時前、まだ人がまばらのせいか駅舎が大きく感じられる。軽井沢行き始発列車に乗り、上田へ。このまま軽井沢まで行きアウトレットで買い物して帰ろうか、そんな気にさせるほどの雨が降ってきた。上田駅の待合室で雨具の準備をしながら、新幹線ではどうやっても乗れない7時5分発のバスを待つ。予想どおりバスの乗客は私一人、500円で1時間弱の長旅、何だか申し訳なく思えてきた。
雨は上がり、清々しい森の中を進む。出発遅めの車が追い抜いてゆくが、その数は僅か、こんな日に上信国境の山に登る奴はそうそういない。直線道路、そろそろいいだろう、そう思った頃、登山口が見えた。答えを見出せなかった選択肢に足を止めて悩む。計画どおり右回りで進むか、変更してまずは四阿山へ登るか。のんびり草を食む牛の姿に導かれるように四阿山方向に歩き出したとき、再び雨が降り始めた。今度は止まないだろう。少し先を急ぐ。
雨のお蔭で登山者ばかりか虫も少ない。右に沢音を聞きながら進む。負けじと小鳥の囀りがこだまする。やがて渡渉ポイント、昨日からの雨でかなり増水していた。レンゲツツジ、前回のシャクナゲ同様1週遅かったか、落胆するも束の間、標高を上げるに連れ、その見事な群生に心を奪われる。今回の記録はオレンジ色で充たされるにちがいない。
小四阿を過ぎて、ツアーバスの団体に追いついた頃、雨脚が強くなってきた。雨具を装着し、GPS、スマホアプリの誤動作に気付く。防水性能をよいことに普段と変わらぬ操作の結果である。復帰にかなりの時間を費やし、久しぶりに後続に道を譲った。
雄大な眺望が期待できる稜線を、強雨を凌ぎながら進む。風が無いだけまだましと考えるべきか。中四阿からはペースを速め、根子岳への分岐、階段状の木道を経て、山頂へ。到着して間もなく、図ったかのように雨は止んだ。この機を逃すまいと腰を下ろし、コーヒーの準備に取り掛かる。ほどなく女性二人のパーティが上がってきた。コーヒーとパン、諦めていたからより一層美味い。白一色の緞帳を前にして、ほんの一時このまま晴れて虹を見る幻想に囚われた。
根子岳を回れるか、バスとソフトクリーム休憩の時間から逆算した。まだ不可能ではない時間だった。急ぎ片づけ、出発の準備をしていると、彼女たちが前を横切った。途端、風が吹き、雨が降り始めた。幸運の女神が去ったかのように。
俄かに大嫌いなピストンでも良い気がしてきた。山頂をあとにするとまた小康状態に。やがて根子岳分岐に差しかかると、雨は完全に上がり、先刻の団体がのんびり昼食を取っていた。1年で最も昼の長い日を翌日に控え、12時に下山の途に就くこと、ここにきてまだ抵抗はあったが、のんびりとレンゲツツジを見ながら下りるのも悪くない、周回への思いを振り払った。
中四阿を過ぎても天候は変わらず、前方の雲も上がってきていた。このまま回復するのではないか、少しだけ後悔の念が過ぎる。分岐からは人に会わない。やはり下山の方がゆっくり落ち着いてレンゲツツジを愛でられる。それにしても今まで山に登って花に見とれることなどなかったのに、どうしたことか。
牧場が近づくと再び雨が降り始めた。今日はつくづく雨の女王に翻弄される。天気には恵まれなかったが四阿山、良い山だった。次に機会があれば冬の眺望良い頃に訪れたい。登山口のトイレ前で、靴やスパッツの泥を落としてからいよいよ売店へ。ソフトクリームを味わいながら不思議な充足感を覚えていた。さきほど「雨の女王」を口ずさんだからか店内では山下達郎の「さよなら夏の日」が流れていた。
これから始まる夏、この高原は多くの人で賑わうのだろう。バスの本数も増え、7月以降は時間を気にせず楽しめる。ほとんどの自家用車が出発してくれたお蔭で、バス停までの道のりも爽やかで気分がいい。傘を差しながら直線道路をのんびり歩く。出発までの30分、待合所で着替え、炭酸でのどを潤す。1時間の静かなバス旅、1時間の快適な新幹線移動は、きっと今日を含めた1週間の疲れを癒してくれることだろう。
空は明るくなりつつあった。ふと目の前を赤い車が通り過ぎた。美しい花を見続けたせいだろうか、或いはダボスのバス停で女神像を見たせいか、7月、8月の少し手強い登山を前に、女性らしさを感じた心地よい一日だった。
kimichin様
こんばんは。
おつかれさまでした。
あいにくのお天気でしたが、四阿山の山頂で、コーヒーブレイクすることができて本当によかったです。私もパン大好き人間なのですが、普段おいしいパンも、お山でいただくとさらにおいしく思います。すごくうれしい気持ちになります。
梅雨の時期は決断することが本当に難しいですよね。
私のような初心者はなおさらです。
「てんきとくらす」とにらめっこしながら、何時までなら大丈夫そうか、エリアはなどと、雨を避けることに奮闘します。(合羽類はちゃんとリュックに入っているのですがなるべくなら使いたくないなあという思いで必死です(笑))
kimichin様はさすがです。その場その場で適宜判断されていらっしゃることはすごいです。私は果たして、すっぱり判断できるかどうか?
くれぐれも、お怪我なさらぬよう充分お気をつけください。
reochi19様
おはようございます。ありがとうございます。
決断というほどの難しいことではなくて、単にソフトクリームをゆっくり食べたかっただけなのです。根子岳と四阿山の間の尾根を歩いてみたかったのと、余程の場合を除いてピストンは避けようという理由でしたので、雨のせいにして周回を中止しただけです。
でも、山では何が起きるかわかりませんので、単独行の場合は特に細心の注意が必要ですね。花に気をとられて下り坂、一度足を滑らせました。reochi19様もお一人の時は、十分気をつけて行かれますよう。
ところで奥多摩の研究、だんだん深くなっていますね。私も奥多摩は大好きなので興味深く拝見しています。
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