西吾妻山-西大巓 〜思いがけないホスピタリティ〜 B27
- GPS
- 04:16
- 距離
- 6.9km
- 登り
- 428m
- 下り
- 844m
コースタイム
- 山行
- 3:42
- 休憩
- 0:31
- 合計
- 4:13
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
4:20 米沢駅東口着 (駅待合室にて仮眠、休憩) 8:10 米沢駅前発※1(山交バス、970円) - 8:50 湯元駅前BS着 9:00 湯元駅発※2(天元台ロープウエイ、800円)9:05 天元台高原駅着 9:10 リフトセンター発(夏山リフト3基乗継、1,100円)9:45 北望台着 復路 15:15 山頂駅発(パノラマゴンドラ、1,140円)15:30 山麓駅着 15:45 グランデコスキーセンター発※3(ホテルグランデコ送迎車、無料) 16:20 猪苗代駅着、16:52 同駅発(JR磐越西線)17:35 郡山駅着 〜 ※1 東京からだと、新幹線利用でどんなに頑張ってもこの1番バスには乗れない。 ※2 ロープウェイは20分毎に運転。 ※3 前日の20時までに予約すれば、ホテルの送迎バス(この日は乗用車だった)で送ってくれる。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
西吾妻山までは十分整備された道。西吾妻小屋経由で山頂に至る道は倒木2箇所有り、刈払いも不十分。西吾妻小屋から西大巓を経てグランデコに至る道は、訪れる人が少ないせいかやや野趣に富む。 |
その他周辺情報 | レストラン:ゴンドラ山頂ブナブナ 石窯ピザ、会津山塩ソフトクリームなど 日帰り温泉:ホテルグランデコ、1,000円(タオル付だそうです) |
写真
感想
南八ヶ岳への山行に十分未練があったので、ギリギリの段階まで天気図等を睨んでいた。しかしながら避けられそうもない「風雨強し」に、2か月前に予約していた天女山荘に電話を入れた。意気消沈、今週は大人しくするか、諦めきれずに傘マークの少ないエリアを探す。急な計画変更、できるだけ安全かつ沢山の楽しみが期待できそうな山を探した。
吾妻山、山形側から入り福島側へ下りるコースは、ロープウェイ、リフト、ゴンドラ、木道、池塘、草花、岩場、「全部のせ」ではないか。問題はグランデコからの公共交通、路線バスをいくら検索しても見つからない。仕方ない、周回コースにするか、そう思い始めたとき、利用できそうな「足」が目に止まった。往路は前回同様、新幹線を以ってしても間に合わない1番バスに乗るため、夜行バスを探す。すでに当日の昼、ようやく見つけた便は、独立3列シートの山形行きだった。復路の送迎バス、高速バスも予約、何だかわくわくしてきた。
居ても立っても居られず、早々に上野駅に着き、マルイ下のカフェで時間を持て余す。 定刻どおり出発、ほどなくして消灯、例によって浅い眠り。米沢駅が近づき私がごそごそしていると、前席の人が座席を起してくれた。隣席の女性も最短で通路に出るために協力してくれた。それだけで東北に来た気がした。駅前は予想以上に静か。それもそのはず、着いた東口に出入口がない。西口にまわり、駅に入ろうとしたが、まだ4時半、眠りから覚めていない。しばらくバス停前のベンチで雨を眺めて過ごす。駅待合室はやはり暖かくて過ごしやすい。車中での睡眠不足を十分に補ったのち、再び外へ。雨は完全に上がり、いつの間にか陽射しも期待できそうな天気になっていた。
バスの乗客は登山者4名、いずれも同年代以上、全員湯元駅で降車した。年季の入ったロープウエイと3基のリフトを乗り継ぎ、北望台へ。霧が立ち込める中、ゆっくりと歩き始める。何も見えないが、関東甲信の降雨を思えば降られないだけで十分だ。木道が現れる頃、ようやく虫の数も減ってきた。めまぐるしく変化する植生に従って、登山道で感じる匂いも変わる。往復の人々は、池塘を眺め、道端の花を愛でながらのんびり歩いていた。やがて梵天岩から天狗岩へ、岩場が続くようになると霧は一層濃くなり、赤丸印を頼りにいつものペースで進んだ。
天狗岩に立つ吾妻神社で今日の山行に感謝したのち、小屋まわりで向かう。このルート、遠回りだが清々しい湿原を静かに歩くことができた。西吾妻小屋からいよいよ最後の登り。途中、倒木2か所、刈り払いも不十分だったが、ほどなく西吾妻山に着く。以前テレビ番組で観た記憶が甦る。眺望得られずとも、標高2,000メートル超で木々に囲まれた頂、静かで森の息吹を感じられる場所だった。
何となく寄りたかった西吾妻小屋をあとにして西大巓に向かう。相変わらず霧は晴れないが、緩やかに下ったのちは気持ちの良い尾根道、晴れていればさぞかし素晴らしい眺望が得られるのだろう。わずかな登り返しを経て山頂へ。ようやく腰を下ろして昼食の準備にかかる。肌寒いが風は無く、コーヒーをゆっくり味わえそうだ。残るは下りの2時間足らず、もう少し長居をしても良かったが、ゴンドラ駅での楽しみを想い、早々に片づけ出発する。
長く感じる単調な下りだった。泥濘に足を取られ、濡れた石の上を慎重に進む。やがてグランデコスキー場、駆け上ってくる霧の中を滑らかに下りる。品の良いリゾートの気配が、何気なく存在する立木からも感じられる。実に心地よい、纏わり付く虫たちを除けば。ゴンドラ山頂駅に到着し、レストランでご褒美ソフトを味わった。ぼんやり真っ白な景色を眺めていると、係の方が近づき「○○様ですね。お迎えの車は予定どおりに参りますので、15分前にはゴンドラにお乗りください」、驚きを隠せなかったが、これがこのリゾート会社の一流たる所以なのだろう。何気ない心遣いに気をよくして、再び何も見えない窓に目を向けた。
夜行バスの乗車前に、米沢駅で、そして今、時間調整を飽きるほど行ってきた。高速バスから新幹線に予約を切り替えることにした。パノラマゴンドラに揺られながら山麓のスキーセンターへ下ってゆく。靴の泥を落とし、着替えて送迎バスを待つ。ほどなくやって来たのは、バスではなく乗用車だった。スライドドアが開き、「○○様、お待たせいたしました」、礼儀正しいホテルマンが迎えてくれた。待つどころか予約の時間よりも早く現れた、私だけのためのその車に、「よろしくお願いします」の一言で乗り込んだ。私はソフトクリームを食べてゴンドラに乗っただけです、ザンゲ岩にでも行ったほうが良いだろうか、そんな私の心配をよそに彼は当然のごとく車を走らせる。「縦走ですか。こちら側は少し荒れていたのではないですか」そんな言葉をきっかけに、楽しい会話が始まった。予定よりも15分早く到着し、降車の際には「ありがとうございます」を忘れない。それはこちらの言うべき言葉、感謝の気持ちを十分に伝えられたか、少し気懸りだった。
猪苗代駅で磐越西線の列車を待つ。郡山駅で喜多方ラーメンを食べ、新幹線に乗ろう。福島の空を見上げながら今日の楽しかった山行を思い返す。待ち時間は長く、肝心の時間は慌ただしくもあったが、存分に楽しめた。やはり、かの百名山を選んだ先人は、良い山を私たちに教えてくれる。東北の自然と人々に感謝しつつ、またこの空を見に来よう、小さく呟いてみた。
kimichin様
おはようございます。
まずは移動も含めて本当におつかれさまでした。
お天気もざあざあ降りにならずよかったです!!
同じ県内にいらしたのですね!!
私の方は、もともと変形していた首の頸椎がさらに変形し、左手のしびれがとれず、Tバーを掴むことが難しかったので、急遽月山の牛首というところまで登山していました。
(3連休から、先の牛首の残雪でポール練習なので、そこまでにはなんとかしたいと思っています。お医者様からは、しびれなので、逆に動かせるのなら、筋力低下を防ぐため、いつも通りのことをした方がいいといわれました。物がつかめれば何でもござれです。昨日のリハビリで、やっとしびれを緩和できるポイントがみつかったので、大丈夫そうです。)
吾妻山は行ったことはもちろんありません。冬、スキーをしているときに、視界には入っているはずの山なのですが、磐梯山しかわかりません。
BSプレミアムの「百名山」か田中陽希さんの「一筆書き」かどちらか忘れてしまいましたが、森林限界が近づくにつれ、木々の高さがないことがとても印象的でした。
kimichinさんのレコですが、とっても詩的で素敵です!!
話は変わりますが、グランデコのホテルの従業員さん達は本当に親切でお優しい方々が多いですよね。私は宿泊はしたことありませんが、スキー場に何回か行った時、ちょっとしたことで色々御親切に対応いただいたことが多々ありました。
東急系のスキー場は従業員さん達の対応が本当にいいので好きです。
次回も楽しい山行になりますように!!
reochi19様
神経の痛みや不調はすべてを憂鬱にしますね。対処法がわかって何よりです。大事になさってください。それにしてもこの季節にも月山でトレーニングなのですね。スキーも登山もぜひ両立させて楽しまれますよう。
吾妻山、期待以上に楽しい山歩きでした。続けて百名山を歩くことになりましたが、天候のせいか人も少なく静かな時間を過ごせました。そして、両スキー場施設の対比から、歳月の重みと華やかさの儚さを知らされました。また、久しぶりに本物のホスピタリティに接することができ、少しだけ豊かになった心で家路に就くことができました。
ふとした気の緩みが大きな失敗に繋がらないよう、これからも気をつけて歩きたいと思います。ありがとうございます。
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