編笠山-権現岳 〜その余韻に〜 A11
- GPS
- 09:55
- 距離
- 14.0km
- 登り
- 1,374m
- 下り
- 1,773m
コースタイム
- 山行
- 8:44
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 9:44
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
当日 観音平4:05着 甲斐大泉駅14:35発(JR小海線)小淵沢駅15:00着、 16:27発(快速ビューやまなし号グリーン車、1,670円)三鷹駅18:55着〜 ※信濃川上付近で発生した土砂崩れの影響で小海線のダイヤが乱れ、接続待ちした 中央線を含め発着時間は通常と大きく異なります。 ※日頃、韮崎や塩山からの帰りにお世話になっているビューやまなし号の 2階グリーン車。リクライニングシートでぐっすり眠れます。勿論あずさの 指定席より断然廉価。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
観音平〜編笠山 緩やかな登坂、山頂直前は急登。 編笠山〜青年小屋〜権現小屋 青年小屋直前は岩場の下り。雨天時は滑りやすい。 ギボシのトラバース路、鎖を頼りに足元確かに進めば高度感は和らぎ、 立ち止まって深呼吸をする必要はありません。ただし、1か所、鎖を 握りしめてしまう場所があります。 権現岳〜天女山 権現岳を下り三ツ頭までの間に1か所鎖場があります。登りは何のことも ないでしょうが、下りでは取りつき点が見えず少し緊張します。 三ツ頭から天女山への道は、変化なく単調、木陰も少なく暑く飽きます。 |
写真
感想
夜行バスは、夜明け前に標高1,560mまで運んでくれた。コースタイム9時間40分、尖峰を目指し出発する。黎明の曖昧さは、差し込む朝陽と植生の変化により、次第に薄れゆく。緩やかに、されど確実に高度を稼ぐ。静かな始まり。
雲海、押手川、2,000mを超え、木の根が洗い出された斜面から岩がちな地形へ。先ほどまでのやさしい傾きとはうって変わった急登が現れると、ほどなくして編笠山に到達する。その視界のほとんどを青空に占められ、言葉を失う。見渡す限りの名だたる山々。赤石山脈、木曽山脈、飛騨山脈、そして独立峰たち。雲海の上に浮かぶ彼らに魅せられながらも、辛うじて感謝の気持ちを表し、北東に聳える岩峰に向かう。
大岩の床を越えて青年小屋に着き、編笠山を振り返る。素晴らしい眺望を叶えてくれた貴方にも感謝しなくてはならない。水分を十分に補給してから、逸る心を抑えてゆっくりと歩き始める。この青空に見守られながら快い山歩きを続けよう。
のろし台。西ギボシの岩壁を望みながらグローブを着け、ストックを仕舞う。いよいよ楽しみにしてきたギボシの鎖場が迫る。心地よい風が吹き渡る稜線からは、空も雲も山々も、何もかもが鮮やかさを増して映った。
そして始まる。先ずは斜度のある岩場を上がり、鎖が現れる。西側を登りきるとやがて東のトラバース。事前にWEB上の写真やコメントでイメージしてきた場所、慎重に足元を確かめて行けば時間を意識せずに通過できる。1か所、幅狭く、高度を感じる場所が有り、赤岳の見える稜線に至るまでは緊張感を維持する必要があった。
夢中で進んだせいか、いつになくのどが渇いていた。権現小屋で態勢を整えてから山頂に向かう。赤岳への縦走路がはっきりと、招いているように映る。暫く八ヶ岳の盟主を、今まで見えなかった奥秩父の山々を、そして幾つもの積乱雲を発達させた南アルプスをこの目に焼き付け、間近の頂へ一歩を踏み出した。
10数名の団体が去るまで手前の岩で待機し、写真を2枚撮るだけの時間で狭い山頂をあとにした。三ツ頭への下りには1か所鎖場がある。団体の通過待ちの後、ようやく下り始めると登りのパーティーが待っていた。慌てた。最も危険な場面だった。そして今回の山行で最も反省すべき時間だった。
気持ちの切り替えができぬまま三ツ頭への登り返し、とても厳しかった。何度も立ち止まりながら10時ちょうどに山頂に着く。歩き始めて5時間半、ようやく腰を下ろした。陽の光が容赦なく降りそそぐ中、湯を沸かす。パンの選択は誤ったが、コーヒーは上出来で、ここまで辿り着けた安堵を感じていた。幸い、西の積乱雲は近づかない。ゆっくりと下山すればよい。
しかし、天女山は遠く、続く道は予想以上に険しかった。標高2,500mから1,500mまで、樹林帯の中を快い速度で下り、天女山で一息つき、甲斐大泉の温泉で汗を流す、はずだった。単調で退屈な行為は、最も疲労を覚える。緩急もなく、木陰の少ない道を、ひたすら歩む。季節が異なればまだ耐えられるのだろうが、この異常なほどの暑さの中、無心で歩を進める。先月、逆ルートの計画を悪天候により中止したこと、それを唯一の支えに、休むことなく歩き続ける。
天女山、隣の美し森山と異なり、何もない。一息つくどころか一瞬たりとも立ち止まりたくはない。あまりの渇きに、数時間前の鮮明な記憶たちが薄れてゆく。山中で淡い期待を抱いていたその場所からおよそ45分、ようやく自販機が目に入った。500mlの清涼飲料水を一気に流し込み、駅を目指す。
甲斐大泉駅の窓口で、えきねっと発券が可能か尋ねると、信濃川上付近の土砂崩れでダイヤが乱れ、次に来る列車で小淵沢に行った方がよいと勧められた。温泉、コカコーラ(またはコーヒー牛乳)、まったりとした時間、それらが目前で音を立てて崩れた。慌ただしく着替え、25分後には車中の人となった。小淵沢までの間に、あずさをキャンセル、快速列車に変更した。
ビューやまなし号2階グリーン席は、予想どおり空いていた。隣席のいない、静かな車内で、コーラを飲みながら意地になってまったりとした時間を過ごした。先月、北で感じた碧き香り、今日の岩の感触、そして間近に迫った南へのたゆたう望み。シートに身を委ねながら、想いは、いつしか深い眠りの中にあった。
kimichin様
まずは、おつかれさまでした。
電車のトラブルを最小限に回避できて本当によかったです。
えきねっとは本当に便利ですよね。
私が今使っている携帯電話がガラ携帯なのですが、9月13日でガラ携帯対応のえきねっとがなくなってしまうので、ぼちぼちスマホに買い替えなくてはならなくなりました。ユーザーが少ないのでしょうか、ちょっと残念です。
とにかく、山に登っている時でも、1ヶ月先の電車の予約ができるので重宝しています。
雲海と富士山ですが、見上げるではなくて、ほぼ対等な位置に見えるのですね。
雲の間から山頂がちょっと見えているところがいいです!!
それから奥秩父の山々とトンボのお写真、トンボは小さいのに、山々を悠然と見下ろしているように見えますね。
前回も書きましたが、空の青色が違います。なんともいえない青さです。
8月2日は本当に暑かったです。kimichin様が自販機にダッシュされたことは充分うなずけました。
熱中症には充分お気をつけください。
reochi19様
ありがとうございます。前半の、眺望と岩場歩きの心地よさが、後半の、炎天下単調歩きで
打ち消されるところでした。ある程度の覚悟をかなり上回る試練でした。歳月の重みも感じ
ました。
北アルプス、八ヶ岳、いよいよ来週は南の南へ向かいます。学生時代、北のストイックで
清楚なイメージに比べ、南は泥臭い男の世界を感じ、好きになれませんでした。昨年から
今年にかけて何度か南アルプスと周辺を歩き、大分イメージが変わりました。加齢の重み
を感じます。
気をつけて行ってきます。reochi19様も暑さに負けない、楽しい山行を。
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