白馬大池-白馬三山 〜藍色の空、どこまでも高く〜 S6
- GPS
- 57:42
- 距離
- 21.8km
- 登り
- 1,910m
- 下り
- 2,487m
コースタイム
- 山行
- 5:54
- 休憩
- 0:19
- 合計
- 6:13
- 山行
- 6:54
- 休憩
- 1:24
- 合計
- 8:18
自然園駅 7:55 - 天狗原 8:55 - 白馬乗鞍岳 9:50 - 白馬大池山荘 10:15 - 船越ノ頭 11:00 - 12:00 小蓮華山 12:20 - 三国境 12:35 - 13:20 白馬岳 13:30 - 白馬山荘 13:50 - 14:05 白馬岳頂上宿舎
第2日
白馬岳頂上宿舎 4:40 - 4:45 丸山 5:45 - 6:35 杓子岳 6:40 - 7:25 鑓ヶ岳 7:40 - 猿倉への分岐 8:00 - 9:20 白馬鑓温泉小屋 9:40 - 小日向のコル 11:24 - 13:00 猿倉
天候 | 第1日 晴れのち曇り 第2日 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
第1日 栂池高原BS6:24着。ゴンドラリフト切符売場、乗車待ちに並ぶ。栂池高原駅7:10発、栂の森駅7:30 着、徒歩3分のロープウエイ栂大門駅へ、自然園駅には所要時間5分で7:45着。 第2日 猿倉 14:00発(タクシー相乗り)、八方バスターミナル14:15着、14:55発(特急バス、周遊切符代に含む)、長野駅16:20着、18:00発(新宿長野線、周遊切符代に含む) 22:50新宿高速バスターミナル着(定刻は21:40)。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
栂池自然園〜白馬大池〜白馬岳 危険な箇所は無し。岩石群を前後に配す乗鞍岳を越えたのち、人気の大池へ。過ぎてまもなく稜線へ。小刻みなアップダウンを繰り返し、三国境から急登も無く白馬岳。三国境から白馬山荘までとにかく賑やか。 丸山〜杓子岳〜白馬鑓ヶ岳 伸びやかな稜線。鑓ヶ岳直下の岩場、ザレて歩きにくい。 鑓ヶ岳〜鑓温泉 鎖場、侮ってはいけない。長めの緊張を強いられる。高度感無いが、標識どおりストックは仕舞っておくべき。 鑓温泉〜猿倉 覚悟はしていたが、この3時間半の下り(特に小日向のコルへの登り返しは堪える)は、単調かつスポットも無いので、とにかく長い。 |
写真
感想
たまには人気を感じる人気の山へ。躊躇なく白馬三山を選んだ。当初は天狗の頭でご来光を得てから北上するプランだった。天狗山荘を1ヶ月前に予約していたが、前々日に確認した際、意外に混んでいることを知り、迷っていた左回りルートに変更した。結果、これが正解だった。どうも直前の変更がこのところ良い結果をもたらしてくれている。当初の計画どおりであったら、初日の疲れで二日目の長丁場縦走ができたかどうか。
新宿から夜行高速バスに乗る。空席の目立つ車内では、いつになく休むことができた。ほとんどの乗客が八方で降車、終着までは2名の乗車だった。その終着地の栂池高原、高校時代に隣の白馬乗鞍と共に通ったゲレンデ。案内板に懐かしい名をかろうじて読むことができた。あの頃には無かったゴンドラに乗るため、30分前から並ぶ。ロープウェイに乗り継ぎ、40分後には自然園駅に到達、歩き始める。今日は標高差1000メートルをゆっくりと登るプラン、急登もないはずである。
天狗原、乗鞍岳を経て辿り着いた白馬大池は、上り下りの人々で賑わっていた。自ら人気のある山を選んでおきながら、賑わいを避けるように、立ち止まることなくその場を離れた。霧は深くなりつつあった。小蓮華山、既に視界は遮られ、いつものように白い緞帳の前で休憩を取った。味の付いた「いろはす」しか持たず、大池で給水も忘れたため、コーヒーを飲めない。仕方がない、白馬山荘で眺望を楽しみながら味わえることを、その頃には晴れることを希望に出発しよう。一旦下ってからほぼ同じ高さの三国境へ登り返す。
急登も無く、白馬岳に到達する頃には、この山の人気を思い知らされていた。眺望の全く無い山頂を後にし、続々と登ってくる人々と挨拶を交わしながら下る。白馬山荘のレストランは大勢の人で賑わっていた。一人で休むのは気が引けた。相変わらず眺望は得られない。そのまま今日の宿泊地を目指し、下ることにした。
ほどなく頂上宿舎が眼下に見えてきた。十文字小屋、西駒山荘以外に、小屋での楽しい時間の覚えが無い。少しの不安と打ち消す大いなる期待を胸に宿舎の扉を開く。宿泊カードの記入をしている間に、背後で恐ろしい言葉が聞こえてきた。「昨夜は唐松岳頂上山荘に泊まって二つの布団に5人だった」。恐る恐る受付にカードを差出すと、2階寝室場所の説明がにこやかな笑顔と共に返ってきた。
階段を上がり、部屋の扉を開ける。そこには程よい間隔で敷かれた清潔そうな布団があった。急にコーヒーを飲みたくなった。小屋前で湯を沸かし、我が身の単純さを改めて知る。やがて夕食。ビュッフェスタイルであることは事前に知っていたが、内容に驚かされた。うなぎの蒲焼きにすき焼き、およそ15品目は有るだろうか。夕食付にして本当に良かった。結局16人部屋に5名という贅沢で安らかな一夜を過ごすことができ、翌朝4時まで目を覚ますことはなかった。
日の出30分前にはポイントまで移動することを考え、4時30分に宿舎を後にする。「広大な」テント場で迷ってしまい、20分かけて丸山に到着する。すでに数名が三脚を立てて夜明け前の碧を写していた。明けの明星がその明るさに翳む頃、当たり前のように力強い光が射す。この時を迎えることの有難さを感じていた。
予定よりも出発が遅くなった。朝陽に照らされる剱立山連峰を視野に収めながら、三山のうち残る二山を目指す。惜しいとは感じられない程度の下りを経て、杓子岳への登りにかかる。雲の存在そのものが考えられなかった。今ならば。次なる鑓ヶ岳に向かい、出会うことの少ない青空を目指す。
これ以上何を望むべきか。360度の眺望に、どこまでも高い空に魅せられていた。遠く雲海の彼方に浮かぶ富士、その姿を確かめられるほど、視界を遮るものは何もない。宿舎を出発して初めて腰を下ろしたが、何を食べているのかわからなかった。
宿泊するはずだった天狗山荘の方向へ駆け下りる。目の前に立ってから下りたかったが、こののちの長い行程を考えると諦めざるを得ない。やがて鑓温泉手前の鎖場。予想以上の緊張を強いられる時間となった。温泉小屋で早めのコーラを飲みほした後、スマートフォンで出発時間の記録を取るべく電源スイッチを押すも反応がない。様々な意味でのナビゲーターを失い、意気消沈、歩き始める。
陽射しはますます強く、見上げればいつの間にか雲が湧き立っていた。午前9時半、すでに山頂はその雲に包まれていた。地図を広げる必要はない。猿倉への道は、迷うことのない一本道、長く果てしない道。小日向のコルへの登り返し、単調な道、何度休んだかわからない。どうもこのところ下山ルートで苦しめられる。裏を返せば、登りに使わず良かったのかもしれないが。
猿倉に到着し、山荘前で茫然としていた。気を取り直して着替え、バス待ちの態勢を整える。1時間早く到着したため、およそ経験のない2時間待ち。スマホも恍けているし、本も持参していない。コーヒーでも淹れるか。諦めかけたとき、タクシー相乗りを持ちかけられた。お蔭で八方からの特急バスは1本早い便に乗ることができた。長野までの1時間半、これまでと違い山中で仕事やそれ以外のことを何も考えずにいられたことを、そしてふと、頂上宿舎のレストランで微炭酸のコーラを出されたときの驚きを思い返していた。心から登山を楽しめた二日間だった。
kimichin様
こんばんは。
長い行程本当にお疲れ様でした。
「下山ルートで苦しめられる」と書かれていらっしゃったので、累積標高を見てみたら、上りが1820m、下りが 2370mとありました。この数字が下りの大変さを物語っているのだなあと思いました。1500m以上のお山に登ったことのない私なので、2000m以上の数字は文字通り想像を絶します。
初日は曇りでしたが、雲で見えない世界も、次の日の素晴らしい青空の素晴らしさを引き立て役だったのかもしれません。雲やガスの神秘的な空間、個人的には好きです。
御来光、光があるということは本当に有難いことです。やはり、気持ちが明るくなりますし、前向きな気持ちになります。
kimichinさんのレコはゆったりしていらっしゃって、いつも心が落ち着きます。
確かにゆとりを持つことは、どんな局面でも大切なことだと思いました。
次回の山行もお天気に恵まれて、楽しいひとときになりますように!!
reochi19様
普段、厳しい登りの最中でも、飽きるほどの長い下りを強いられているときでも、様々なことが次々と頭の中に現れ、そこからまた別のことを連想したりして、一体山歩きを楽しめているのだろうかと自問自答しているのですが、今回は心から楽しめたと確信しています。これも先月、行かないと誓っていた南アルプスの南部に思いきって行ったからなんだと思います。
これまで山に登るたびに彼のことを思い出していました。あの山域で、持って行ったメモを燃やして風に託して、少しだけ気軽に山に向かうことができるようになったと感じています。何も考えず、ただ山々の懐に抱かれて、ゆっくり進もうと思っています。
とりとめもないことを書いてしまいました。reochi19様のコメントにはいつも励まされます。ありがとうございます。無理せず、楽しい「山時間」を過ごされますように。
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