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Yamareco

記録ID: 963874
全員に公開
ハイキング
八ヶ岳・蓼科

桜平-硫黄岳-夏沢峠-稲子湯 〜中八ヶ岳の静けさ〜 C9

2016年09月18日(日) 〜 2016年09月19日(月)
 - 拍手
体力度
4
1泊以上が適当
GPS
08:33
距離
18.9km
登り
1,523m
下り
1,560m
歩くペース
速い
0.80.9
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
5:17
休憩
0:28
合計
5:45
6:23
6:31
30
7:01
7:01
54
7:55
7:58
72
オーレン小屋
9:10
9:20
25
赤岩の頭
9:45
9:52
53
硫黄岳
10:45
夏沢峠 山びこ荘
2日目
山行
3:09
休憩
0:00
合計
3:09
6:21
43
山びこ荘
7:04
7:04
70
本沢温泉
8:14
8:14
0
8:14
8:14
26
8:40
8:40
38
9:18
9:18
12
9:30
9:30
0
9:30
ゴール地点
天候 雨、風強し
過去天気図(気象庁) 2016年09月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
前夜 竹橋毎日新聞社前発22:40(あるぺん号八ヶ岳線、7500円)
第1日 唐沢鉱泉分岐(桜平入口)着4:45
第2日 稲子湯発11:53(小海町営バス、800円)小海駅着12:25、発13:07(小海線)小淵沢駅着14:22、、甲府駅、、バスタ新宿
その他周辺情報 稲子湯:9時から立寄り可能。650円。熱い。混雑時厳しい大きさ。シャワー、ドライヤー、当然無し。
4:45、唐沢・桜平分岐。十分わかっていたつもりでも、バスから独り降り、ヘッドライトも無くなると、雨の中、言い知れぬ孤独感が募る。
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4:45、唐沢・桜平分岐。十分わかっていたつもりでも、バスから独り降り、ヘッドライトも無くなると、雨の中、言い知れぬ孤独感が募る。
醤油樽の滝への分岐。
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醤油樽の滝への分岐。
天の岩戸。だいぶ明るくなってきた。
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天の岩戸。だいぶ明るくなってきた。
茅野市が進める桜平駐車場建設はまもなく完成。
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茅野市が進める桜平駐車場建設はまもなく完成。
1時間20分後の6:20桜平着。コースタイム2時間半は長すぎる。
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1時間20分後の6:20桜平着。コースタイム2時間半は長すぎる。
この情景、中八ヶ岳。
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この情景、中八ヶ岳。
泉野への破線ルート分岐。
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泉野への破線ルート分岐。
夏沢鉱泉近いことを知らせる茶褐色の水。
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夏沢鉱泉近いことを知らせる茶褐色の水。
夏沢鉱泉。朝食の時間か、慌ただしい気配。
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夏沢鉱泉。朝食の時間か、慌ただしい気配。
心地よい道をゆく。
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心地よい道をゆく。
堂々としたオーレン小屋からは、下山者たちが続々と現れた。
堂々としたオーレン小屋からは、下山者たちが続々と現れた。
写真だと読めない、赤岩の頭、硫黄岳方面へ。
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写真だと読めない、赤岩の頭、硫黄岳方面へ。
巨木たちに迎えられる。
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巨木たちに迎えられる。
峰の松目分岐。
森林限界を越える。
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森林限界を越える。
赤岩の頭。16歳のあの時の光景と重なる。
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赤岩の頭。16歳のあの時の光景と重なる。
風に押されるように東へ。
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風に押されるように東へ。
広大な山頂に佇む道しるべ。
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広大な山頂に佇む道しるべ。
9:45、硫黄岳到達。風雨あまりに強く、長くは滞在できない。
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9:45、硫黄岳到達。風雨あまりに強く、長くは滞在できない。
山頂を振り返る。この天候でも多くの人が通過する。
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山頂を振り返る。この天候でも多くの人が通過する。
霧中には頼りがいのあるケルンたち。
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霧中には頼りがいのあるケルンたち。
樹林帯へ。南西方向からの強風に雨粒を叩きつけられてきた。その痛みから解放される。
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樹林帯へ。南西方向からの強風に雨粒を叩きつけられてきた。その痛みから解放される。
崩壊地を迂回する。
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崩壊地を迂回する。
向かい合う二つの小屋。
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向かい合う二つの小屋。
モモンガは午睡の間にやって来た。見事に見逃した。
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モモンガは午睡の間にやって来た。見事に見逃した。
実物を見られなかったので、ポストカードで。
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実物を見られなかったので、ポストカードで。
6時20分、山びこ荘を発つ。宿泊客3組、日頃の睡眠不足を補えた。
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6時20分、山びこ荘を発つ。宿泊客3組、日頃の睡眠不足を補えた。
硫黄の臭いがし始めた。本沢温泉が近い。
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硫黄の臭いがし始めた。本沢温泉が近い。
日本最高所の野天風呂はここから眺めて。
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日本最高所の野天風呂はここから眺めて。
計画その3ではここへ下りるはずだった。
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計画その3ではここへ下りるはずだった。
本沢温泉野営場。小屋から遠い。
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本沢温泉野営場。小屋から遠い。
本沢温泉クリン草園。
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本沢温泉クリン草園。
松原湖への道を分ける。
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松原湖への道を分ける。
北でも南でもない、中八つの径。
2
北でも南でもない、中八つの径。
北へ転じて、平坦な心地よい道を。
2
北へ転じて、平坦な心地よい道を。
森林の美しさに感謝。
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森林の美しさに感謝。
湿地帯をゆく1。
湿地帯をゆく2。
計画その2ではここへ下りるはずだった。
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計画その2ではここへ下りるはずだった。
みどり池としらびそ小屋。
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みどり池としらびそ小屋。
ここでも子供たちの声がこだまする。
ここでも子供たちの声がこだまする。
紅葉は羊歯から。
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紅葉は羊歯から。
林道出てから再び登山道へ。
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林道出てから再び登山道へ。
閑かな森で耳を澄ます。
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閑かな森で耳を澄ます。
頼もしいゲート。
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頼もしいゲート。
計画その1ではここへ下りるはずだった。
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計画その1ではここへ下りるはずだった。
大いなる分岐点。299号線、あの頃よく走った。
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大いなる分岐点。299号線、あの頃よく走った。
9時30分、稲子湯着。「お早いお着きで」、いえ「計画どおり」なのです。その4だけど。
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9時30分、稲子湯着。「お早いお着きで」、いえ「計画どおり」なのです。その4だけど。
風情あると言えばあるのだろう。貸切。
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風情あると言えばあるのだろう。貸切。
〆は小海駅前のソースかつ丼。
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〆は小海駅前のソースかつ丼。

感想

 荒天の予報は変わらず、前々日に計画を変更した。予約していた稜線上の小屋をキャンセルし、当初迷っていた小屋に連絡した。桜平から入山することは変えず、岩場通過の少ないコースを選んだ。
 キャンセルが出ているせいか、夜行バスの乗客は半数程度、到着後の困難さに備え、できるだけ休めるよう努めた。美濃戸口の先は、3名のみ。当然のごとく桜平入口で下車したのは私だけだった。4時45分、夜明け前、小雨降りしきる中、独り暗闇の中にいた。5時、桜平に向けて歩き始める。
 コースタイムでは2時間半の道のりだったが、意識せずに歩いて6時すぎには到着した。申し訳程度の小さな駐車場から溢れた車が路上に並んでいる。レインウェアを取り出し、傘をストックに持ち替える。1ヶ月ぶりの山歩き、ほどなく余裕は無くなった。
 夏沢鉱泉を過ぎ、下山者と多くすれ違うようになった。なぜか子供連れが多い。オーレン小屋で休むつもりだったが、降雨の中、夏沢峠への道を分けそのまま歩き続けた。徐々に本来の歩きに戻り、赤岩の頭に着く頃には、遠い日の記憶を辿ることができた。
 
 それは私にとって、今日に至るまで唯一の撤退。その夏、バイトを続けた結果、ようやく買ったテント、ザック、シュラフを携え、不十分な計画のまま、独り赤岳へ向かった。嬉しさで有頂天、赤岳鉱泉に早く着いたため、いきなり硫黄岳の往復を始めた。森林限界を越え、赤岩の頭に着く頃、遠くに雷鳴を聞いた。それでもなお、16歳の無謀な登山者は、歩みを止めなかった。
 光と音をほぼ同時に感じる頃になって、急に目の前の光景が恐ろしく映り、自らの愚かさに気付いた。辿った道を走りながら、祈り続けた。そして真新しいテントの中で、震えながら一夜を過ごした。帰宅した私の姿を見て、「山は逃げないよ」、父からその一言を聞いた時、その場に座り込んだ。山では死なない、心に誓った。

 今でも鮮明に覚えている。その途中で目にした、霧に霞むケルンを。未熟な私には賽の河原に佇む石積みに思えた。今、こうして改めて眺めると、これほど頼もしい存在はないのだが。
 立ち尽くしていると、不意に年配のご夫婦に声をかけられた。硫黄岳まで一緒に行きましょうと誘われ、ゆっくり歩きだした。広大な山頂には、強風が吹き荒れていた。瞬く間に、縦走を諦めたことの無念さが吹き飛ばされていった。
 硫黄岳山荘に向かうと言っていたご夫婦は、私と共に夏沢峠に向かうこととなった。風速20メートル以上の風と共に雨粒が顔に叩き付けられる。痛みに耐えながら岩がちの道をひたすら下った。結局、山びこ荘には11時前に着いてしまった。モモンガの写真を見ながら、のんびり過ごす半日を思い描いた。 
 予想以上に小屋の中は暗く、これなら夜行性の彼らも安心して訪れられるのだろう、そんなことをぼんやり思いながら、バーナーに火を点した。充たされてゆくのを感じていた。連休中の山小屋とは思えない静けさだった。日が沈むと、ランプの灯りは友との対話を可能にしてくれた。宿泊客は3組、十分に日常の疲れを癒すことができた。
 残念ながら彼らの姿を見損なったので、1枚のポストカードを手に入れた。しばらく眺めたのち、ほの暗い小屋を出て、大いに悩む。そして考えていた四つのうち、最も短時間で到達できるコースを選んだ。幾つかの目的は達せられ、もう十分だった。小雨の中、本沢温泉、みどり池を迷いなく通過。前日と異なり、勿体ないほど体調は万全、幾らでも歩き続けられそうだった。
 3時間後、稲子湯に到着。時間が早かったせいか、小さな湯船に独り、身を沈められた。もっとも、あまりの熱さに30秒で出たのだが。バスを待つ間、帰り道を考え続けた。バスに乗り渋滞に嵌るのか、あずさの車中で息苦しさを味わうのか、真剣に悩んだ。やがて考えることに飽きた頃、ふとあの光景を思い出していた。そして父のその一言に、幾多の場面でどれだけ救われてきたか、私にとって山の偉大さのごとき存在であったこと、あらためて気づかされた。

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コメント

風雨の中お疲れ様でした!!
kimichin2様
こんにちは。

大変な雨と強風の中本当にお疲れ様でした。
隠れるものがなかったところは大変だったことでしょう。
樹林帯に入られた時は少しほっとされたのではないかと思います。

私も一度だけ、月山で似たような状況にあったことがありました。
数年前の7月の3連休の中日のことでした。
風速20mを超えてリフトは運休でした。
月山山頂に行く途中の牛首というところでスキーのポール練習をしていたのですが、その日でその年の練習を終了する小学生がいました。牛首にスキーの板を置いたままになっていたので、取り行くことが主目的、小学生、中学生、高校生、そして連れ合いと私総勢30人くらいで、登山径を牛首まで列をなして行きました。樹林帯は風が防げてよかったのですが、途中の小川は大川になり、渡る時には苦労しました。稜線は強風で進むのもやっとでした。牛首はちょうど谷間で、強風が吹いていてもあまり感じませんでした。コーチが、私が7本ポールを滑ったら練習終了すると発令しました。
牛首にはリフト、Tバーはなく、ポールを滑ったら担ぎ上げをしてスタートに戻ります。
ちょうど16歳のkimichin2さんのように、体力無尽蔵の子供たちは、私に何本滑りましたか?と聞いて、私が7本目に到達していないことを確認し、ダッシュでスタートまで駆け上がっていました。私があとラスト7本目にかかる、最後の担ぎ上げにかかると、彼らのダッシュも一段と壮絶でした。多い子で15本滑ったそうです。
下山時の稜線では、スキーブーツをリュックに入れて、スキー板をリュックにハの字につけていて、結構重たい荷物をしょっていたのにもかかわらず、普通に歩いていて、強風で倒されました。自分でも何がおきたのかわからず茫然とした記憶があります。
(コーチもこの出来事以来、大雨、強風時はポール練習は中止しています。)

16歳のkimichin2さんは、御自分で一生懸命道具をそろえて、ワクワクされながら赤岳に向かわれたのですね。怖い思いをされましたが、無事下山、帰宅されて本当によかったです。お父様の「山は逃げないよ」のたった一言ですが、私もジーンとなりました。
私は高校生の時、部活の山岳部の扉をたたきましたが、女子はダメということで門前払いをされました。自力でなにかをするという発想がなかったので、40代後半まで、スキー以外でお山に行くことはなかったのですが、同じ16歳kimichin2さんは、自力でお山に行かれていらっしゃいます。すごいことだなあと思いました。

足元の紅葉、木々の紅葉、楽しみな季節になってきました。
くれぐれもお怪我なさぬよう、体調を崩されませぬよう充分お気をつけください。
のんびり、静かな、楽しいお山歩きになりますように!!

長文になってしまい、申し訳ありません。
2016/9/22 10:21
紅葉の山に
こんにちは。ひさしぶりに何もない休日です。今回の登山同様、のんびり過ごしています。
いつも以上に丁寧なコメントいただき、感激しております。また、こちらこそ長文をお読みいただき感謝いたしております。
今回、期せずして、以前訪れたときと同様の天気、光景に遭遇しました。決して忘れることはない体験だったのですが、目の当たりにして、より鮮明に甦りました。無知な少年にとって、間近で雷の光と音を感じることは、本当に怖い瞬間だったのです。

reochi19さんは、山岳部に入部されようとしていたのですね。てっきりスキー部だと思っていました。私にとって、高校の山岳部は少し退屈で、2年の春からは独りまたは親しい友人と登っていました。その頃の私はまだ怖いもの知らずでした。

reochi19さん、前回のロープウェー計画は考えていただきましたか。ロープウェーのゴンドラの中から、山頂へと続く登山道から、紅葉の美しさを堪能してみてください。苗場、安達太良山あたりがお奨めです(静かな山歩きにはなりませんが)。とにかく新幹線でGOです。

また、深く趣のある記録を楽しみにしております。
2016/9/22 15:22
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