黒姫駅-黒姫山-飯綱山 〜信越、魅せられる〜 S9
- GPS
- 28:26
- 距離
- 30.6km
- 登り
- 2,379m
- 下り
- 1,913m
コースタイム
- 山行
- 8:07
- 休憩
- 0:41
- 合計
- 8:48
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
第1日 長野駅着5:00、発5:14(しなの鉄道北しなの線 640円)黒姫駅着5:52 戸隠キャンプ場発14:55(宿の送迎車) 第2日 飯綱山登山口発10:28(アルピコバス、930円)長野駅着11:10、発12:00(高速バス(アルピコ)3,900円)バスタ新宿着16:00 |
コース状況/ 危険箇所等 |
黒姫山表登山道 山頂までの間に出会ったのは1名(トレラン1名はカウントせず)、静かで変化に富んだコース。八合目から岩混じりの急登。ストックを仕舞うべき。 戸隠スキー場〜瑪瑙山〜飯綱山 誰にも会わず、静かな山歩きを楽しめた。 |
その他周辺情報 | 戸隠高原休暇村「シャレー戸隠」 老舗のホテルだが、室内は改装したのか清潔で心地よい。戸隠連峰が望めるロケーションもさることながら、夕食の質の高さに驚いた。早朝発を告げると、2食付きを夕食のみの料金にしてくれた。 |
写真
感想
二日間の行程、三山のうち二山を選ぶ必要があった。高妻山、黒姫山、飯綱山、いずれも魅力的で大いに迷った。いずれの山にも登れることを条件に、拠点となる宿を選んだ。一週間前、好天の約束される予報を知り、高妻山の渋滞を思い描いた。急速に興味を失っていった。
例によって夜行高速バスに乗り長野へ向かう。5時までに着いたら14分発の列車に乗って黒姫山へ、過ぎたら7時のバスまで待って飯綱山へ、結局どちらの山に先に登るか、決められずにいた。
新宿を出てから5時間後、信越国境に向かう車中の人となった。もう後には退けない。標高差1,400メートル、距離18キロメートルを9時間で歩く。私にとっては昨年5月の「安倍奥9時間耐久山行」に匹敵する挑戦である。恐る恐る黒姫駅に降り立った。
午前6時、妙高山が朝陽を受け、妖しげに輝いていた。今日はそちらには参りません。眼前の黒姫山が微笑む。長いアプローチを経て町民の森登山口へ。大きな箱の中に納まったポストに、A案と書かれた登山届を投函する。いよいよ表登山道を進む。
裾野を、昂る気持ちを押さえながらゆっくりと歩く。熊鈴の音が鳴りやむと、瞬時に静寂の支配する愛おしき空間が広がる。風は凪ぎ、小鳥の囀りも聞こえない。このとき既にA案を選択できたことに感謝していた。この行程、明日も静かな山歩きを可能にしてくれるのだ。
合ごとに名づけられた「サブタイトル」、意識しながら歩を進める。1時間ごとに小休止をしたせいか、いつになく疲労を感じず順調だった。やがて八合目を過ぎると、壁のごとき急登が待っていた。ストックを仕舞うタイミングを逸し、2.5点確保で攀じ登る。耐え切れず見上げ、空の青さを十分に感じながら高みを目指した。
稜線に出てからは、先ほどまでの息切れが嘘のように軽快に頂を目指すことができた。忽然と多くの人が現れる。黒姫山山頂に到達した。出発後5時間、変化に富んだコース、飽きずにいられたことに感謝した。幸運にも、ちょうど団体が下山するところだった。遠く上信方向を望みながら、湯を沸かした。良い山だ。「リピーター」の多いのも頷ける。
山頂を後にしてから、正面に戸隠連山、左手に飯綱山を見ながら気持ちの良い尾根道を進む。均整のとれた高妻山の美しさを見直し、興味を失ったことを反省した。ほどなく峰ノ大池分岐、直進し新道に入る。しらたま平という響きのよい岩場を過ぎると南進、密度の薄い樹林帯へ。空を見上げ、木々を愛でながら400メートルほど下るとやがて新道分岐に到達、古池方向に折れる。
古池、紅葉の時期を僅かに逸した感は否めないが、それでも畔の木々は十分に静かで趣あるときを与えてくれた。そして今日最後の目的地を得て、池を離れる頃には少しずつ疲労を感じ始めていた。ほぼ平坦となった林間の道を、速度を早めながら歩く。疲労を紛らわすにはこの方法しか知らない。
大橋登山口に到着し、休む間もなく交通量の多い車道を歩く。体力は使い果たし、やがて気力も費える頃、キャンプ場入口に着いた。限界だった。バス停脇に座り込み、宿の車が到着するのを待った。
ホテルと旅館の良さを併せ持つ、予想以上に素敵な宿だった。ゆっくりと湯に浸かり、夕食のコールを待つ間、堪らず横になった。夕食は期待以上に素晴らしく、ゆっくりと食べたかったが、極度の疲労感はそれを許してくれなかった。部屋に戻り、布団の中に逃げ込んだ。
翌朝、午前6時まで待てば赤く染まった戸隠連山が見えるという、宿のご主人の助言を振り切って午前5時半、予定どおり出発した。すでに高妻山や鏡池を目指す人は出発済みだった。暫らく歩くと戸隠スキー場のゲレンデに着く。振り返るとそれは染まり始めていた。足早にゲレンデ上部を目指す。
戸隠連山の朝焼けは美しく、いつまでも眺めていたかった。30歩ほど歩くたびに振り返った。刻々と変化してゆく様は、スマホカメラの被写体として十分だった。やがて樹林がそれを妨げるようになった頃、ゲレンデ一般コースの最上部に到達する。そこからも登山道は有って無いようなもの、尾根に乗って林間コースを進み、徐々に高度を稼ぐ。
瑪瑙山がスキーコースの最上部と知ったとき、北アルプスの主稜がほぼ全山、視界に入った。わずかに冠雪した後立山連峰から始まり、槍穂高まで見渡せる。予想以上の眺望だった。飯綱山からも望めることを期して、鞍部に向けて下る。等高線の示すほどの下降ではなく、緩やかに登り返す。朝陽を受けて輝く笹原、ところどころ残った紅葉が目に映り、独り静かな山歩きは心を落ち着かせてくれた。
昨日同様、大半が駐車場からのピストンゆえ山頂まではほとんど人と会わない。飯綱山山頂には8時20分到達、おそらく夜明け間もなく出発した数人がいるだけだった。北アルプスはここでもはっきりと望めた。視線を左に移せば、浅間山をはじめとする上信の山々も、早く来いと言わんばかりに雲上に浮かぶ。名残惜しかったが、中社に下りて朝から温泉に浸かるか、一の宮登山口に下りて早いバスで帰京するか、この時点で決めかねていたため、20分ほどの滞在で後にする。
飯縄神社で山行の安全を感謝し、その先の分岐点でまだ悩む。コースタイムどおりに登山口に向かえば2時間で下山、昼前に長野駅に到着することになる。温泉よりも渋滞の無い関越道を優先した。それにしても後半のすれ違う人の数は、はるかに予想を上回り、長野市民憩いの山であること、改めて思い知った。
例によって快速下山で進んだつもりだったが、バスの通過時間まであまり余裕がなかった。顔を洗い、着替えて、電波の通じたスマートホンで高速バスの変更を行った。高速バス車内で「フラペチーノ」を味わう、定刻どおり現れた路線バスの車中で、まったりとした時を想いながら長野駅に向かった。愛おしき静寂、麗しき景(ひかり)、独りを存分に楽しめた。信越の山々に魅せられた、素敵な山旅だった。
コメント
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kimichin2様
こんにちは。
お天気に恵まれた、静かなお山歩きを満喫された御様子で本当によかったです。
朝焼けや、山頂や鞍部の太陽からの光、初めて気がつきましたが、太陽の光は、いろんな変化で、一期一会な演出をしてくれるのですね!!そういう瞬間を逃さず、お写真に撮られるkimichinさんの感性は素敵です!!
「気を良くして見上げる。」のお写真の木々の間から見える雲の形、あんまり見たことのない雲の形でおもしろいです。
紅葉、遅かったそうですが、私は楽しませていただきました。
ありがとうございます。
kimichinさんのレコはさりげなく、面白さもちりばめられていて、くすっと笑ってしまいます。白玉急に食べたくなってしまいました(笑)
次回も静かでおだやかなお山歩きを楽しまれてください!!
お身体にはくれぐれもお気をつけください。
reochi19様
こんにちは。
皆さんの記録を見ても、ようやく晴天の週末となって、青空や山々を見ながら
山行を楽しんでいることがよくわかりますね。
スマホのカメラで記録の一部として撮っていますが、時折ミラーレスで撮り
たいなあ、などという場面にも遭遇します。性格上、その一瞬を待つことが
できないのであまり多くはないのですが。
時折、突拍子もないことを書くのは、やはり、その時の気持ちを残しておき
たいためです。しかめっ面で歩いていても、自然に笑顔になったり、歌い
たくなるほど気分の良い時もあります。
紅葉は美しいのですが、私にとっては、青空やそれを映す瑞々しいものたちを
眺められるときもより大切です。
これからも正直に記録を付けてゆきますね。reochi19さんも静かな山旅を
これまで以上に楽しめますよう。
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